「今夜21時に新作(ヴィンテージ)をアップします!」 「ただ今のインスタライブでご紹介したこのグラス、DM先着順です!」
ライブコマースや、時間を決めて一斉に商品をアップする「ゲリラ販売」。お客様との一体感が生まれ、手軽に始められる。現代のWEB雑貨屋開業において、最高にエキサイティングな販売スタイルですよね。
こんにちは!元「遊べる本屋」店長の行政書士、栗原です。僕が店長だった頃は、必死に手書きのPOPを作って「この本の面白さ、伝われ!」と念じていました。Instagramの投稿は、いわば現代の最強POP。その気持ち、よくわかります。
しかし、その手軽さの裏側に、絶対に守らなければならない法律のルールが潜んでいることをご存知ですか?「そのインスタでの“ゲリラ販売”、合法?」…この問いに、あなたは胸を張って「YES」と答えられますか?
今回は、顔が見えないオンライン販売だからこそ、より厳格に問われる「古物商許可」の重要性について、徹底的に解説していきます。

なぜオンラインこそ古物商許可が厳しく問われるのか?
まず、「リアルな店舗より、ネットの方が手軽だし、ルールも緩いのでは?」と思われがちですが、現実はその真逆です。オンラインこそ問われる古物商許可の重要性。その理由は2つあります。
理由①:「顔が見えない」からこそ「信頼」がすべて
リアルな店舗なら、お客様はお店の雰囲気や店主の人柄を見て、「このお店なら大丈夫そうだな」と判断できます。しかし、オンライン販売では、お客様が頼れるのは画面上の情報だけ。そのお店が本当に信頼できるのかを判断する客観的な材料は、非常に限られています。
だからこそ、「警察署から正式に許可を得て営業している」という事実は、お客様にとって何よりの安心材料。古物商許可は、あなたのWEB雑貨屋開業において、お金では買えない「信頼」を勝ち取るための、最強の武器になるのです。
理由②:警察もネットをパトロールしている!
盗品がフリマサイトやSNSで売買されるケースが急増しているため、警察署もサイバーパトロールを強化しています。「手軽だからバレないだろう」という考えは、非常に危険です。あなたのインスタでの“ゲリラ販売”も、常に公の目に晒されているという意識を持つことが必要です。
あなたのWEB雑貨屋開業プラン、許可は必要?ケース別診断
では、具体的にどんなオンライン販売に許可が必要になるのでしょうか。
ケースA:「新品」のハンドメイド雑貨やオリジナル商品を販売する場合
結論:許可は【不要】です。 あなたが自分で制作したハンドメイド作品や、メーカーから仕入れた「新品」の雑貨を販売する場合、それは「古物」の取引ではないため、古物商の許可は必要ありません。
ケースB:中古のヴィンテージ雑貨や古着を仕入れて販売する場合
結論:許可は【絶対に必要】です。 蚤の市やリサイクルショップ、あるいは個人から買い取った中古の雑貨を、ご自身のネットショップやInstagramで販売する。これは、紛れもなく古物の営業活動です。たとえ**インスタでの“ゲリラ販売”**という形であっても、古物商許可がなければ違法となります。WEB雑貨屋開業で最も注意すべきポイントです。
ケースC:海外から買い付けたヴィンテージ雑貨を販売する場合
結論:原則不要ですが、要注意です。 あなたが直接海外で買い付けた中古品を、日本に持ち帰って販売するだけなら、許可は不要です。しかし、国内の業者から「輸入済みの中古品」を仕入れたり、国内でのせどり品と混ぜて販売したりする場合は、許可が必要になります。 このように、仕入れのルートによって結論が変わるため、注意が必要です。
オンライン販売における古物商許可、3つの最重要ポイント
オンラインこそ問われる古物商許可。WEB雑貨屋開業を適法に行うために、特に重要な3つのポイントを解説します。
ポイント①:拠点となる「営業所」は絶対に必要
「ネットショップだから、物理的な場所は要らないのでは?」これは、よくある大きな勘違いです。たとえオンライン販売のみであっても、商品を保管し、古物台帳などを管理するための物理的な拠点、つまり「営業所」を定めて申請することが法律で義務付けられています。多くの人は、自宅を営業所として申請しています。
ポイント②:すべての販売サイトの「URL届出」を忘れずに
これがオンライン販売における古物商許可の核心です。 BASEやSTORESで開設した自分のネットショップ、Instagram、X(旧Twitter)、フリマアプリのアカウントなど、あなたが古物の営業に使う可能性のあるプラットフォームのURLは、原則としてすべて警察署に届け出る必要があります。
▶ご参考:神奈川県警- URLの届出等について

ポイント③:プロフィール欄への「許可情報」の表示義務
URLの届出をしたら、届け出た全てのサイトのプロフィールページなどに、以下の3つの情報を表示する義務があります。これが、あなたの**インスタでの“ゲリラ販売”**が、法律的に問題のないビジネスであることの証明になります。
- あなたの氏名または名称(屋号など)
- 許可をした公安委員会の名称(例:神奈川県公安委員会)
- 許可証の番号(12桁)
この表示は、リアル店舗における「標識」の代わりとなる、非常に重要なものです。
まとめ – その「ゲリラ販売」に、信頼という名の“お墨付き”を
WEB雑貨屋開業、特にInstagramなどを活用した販売方法は、初期投資を抑えられ、お客様とのダイレクトな関係を築ける、素晴らしいビジネスモデルです。
しかし、その手軽さとスピード感に隠れがちな法的ルールを遵守してこそ、ビジネスは持続可能になります。古物商許可は、あなたのオンライン販売に、警察署という公的機関からの「お墨付き」を与え、お客様からの「信頼」を勝ち取るための、最強の武器なのです。
▶ご参考:e-Gov法令検索 – 古物営業法
▶ご参考:神奈川県警察 – 古物営業
「私のこの販売方法は、許可が必要?」 「複数のSNSを使っているけど、URLの届出はどうすればいいの?」
など、WEB雑貨屋開業ならではの具体的な疑問がありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。あなたのオンライン上の城作りを、法務の面からしっかりサポートさせていただきます。