皆さん、こんにちは!元「遊べる本屋」の店長、今はカッチリ行政書士の栗原です。本屋時代は毎日が文化祭前夜のようなワクワク感でしたが、今は法律と許認可のワクワク(?)に囲まれております!
さて、今回のテーマは、全国的に頭の痛い問題となっている「空き家」の活用法として注目される「民泊」です。特に、権利関係がちょっとややこしい「相続物件」や、建て替えができない「再建築不可物件」をどう活かすか、という点にググっと焦点を当てて深掘りしていきます。
「民泊って儲かるの?」「法律とか難しそう…」「うちの空き家でもできるかな?」そんな疑問をお持ちのあなた!この記事を読めば、民泊のメリット・デメリットから、気になる物件ごとの注意点まで、スッキリ解決するかもしれません。まさに「読むだけでわかる!民泊の始め方・虎の巻」といったところでしょうか。最後までお付き合いくださいね!
なぜ今、空き家で「民泊」なのか?
ご存知の通り、日本全国で空き家が年々増え続けています。総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家総数は約849万戸!これはもう、無視できない社会問題ですよね。 参考:総務省統計局 平成30年住宅・土地統計調査
一方で、日本を訪れる外国人観光客、いわゆるインバウンドの数はコロナ禍で一時的に落ち込んだものの、回復基調にあり、多様な宿泊施設のニーズが高まっています。そこで脚光を浴びているのが、空き家を有効活用する「民泊」という選択肢。地域活性化にもつながるし、空き家問題の解決にも一役買うかもしれない、と期待されているわけです。
民泊運営のメリット:空き家が「お宝」に変わる!?
空き家を民泊として活用することには、どんな「おいしい話」があるのでしょうか?
- 新たな収入源の確保(副業・投資として): 最大のメリットは、やはり収益化でしょう。適切に運営すれば、家賃収入以上の収益を見込めることも。特に立地が良い、あるいはユニークな特徴を持つ物件であれば、高稼働率も夢ではありません。これは立派な不動産投資の一形態と言えますね。
- 物件の維持管理につながる: 人が住まなくなった家は、驚くほど早く傷みます。定期的な清掃や換気、修繕が行われる民泊として活用することで、物件の老朽化を防ぎ、資産価値の維持にもつながります。
- 地域貢献・国際交流の機会: 国内外からの旅行者を受け入れることで、地域に新たな人の流れを生み出し、活性化に貢献できます。また、ゲストとの交流を通じて、異文化理解を深める貴重な体験も。まさに「一石二鳥」どころか「三鳥」も狙えるかもしれません。
民泊運営のデメリットと注意点:甘い話にはトゲがある?
もちろん、良いことばかりではありません。民泊を始める前には、デメリットや注意点もしっかり押さえておきましょう。
- 法規制と許認可申請のハードル(ここが難しい!): 民泊を運営するには、主に以下のいずれかの法律に基づく許可や届出が必要です。
- 住宅宿泊事業法(民泊新法):年間営業日数180日以内という上限がありますが、比較的始めやすい。
- 旅館業法:簡易宿所営業として許可を取れば、日数制限なく営業可能。ただし、設備基準などが厳しい。
- 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊):特定の地域で認められている形態。
- 初期投資と運営コスト: 消防設備の設置、内装リフォーム、家具・家電の購入など、開業にあたって初期投資は避けられません。また、運営開始後も清掃費、リネン交換、消耗品の補充、集客サイトへの手数料、水道光熱費など、継続的なコストが発生します。
- 集客と管理の手間: ゲストをどうやって集めるか(集客)、予約管理、問い合わせ対応、トラブル対応、清掃手配など、日々の運営・管理業務は多岐にわたります。自身で行うか、管理業者に委託するか、事前にしっかり計画を立てる必要があります。
- 近隣住民とのトラブルリスク: 騒音、ゴミ出しのルール違反など、ゲストの行動が原因で近隣住民とトラブルになるケースも。事前にルールをしっかり説明したり、管理体制を整えたりするなどの対策が不可欠です。
【要注意!】相続物件で民泊を始める場合のポイント
さて、ここからは具体的な物件のケース別に見ていきましょう。まずは「相続物件」。親から実家を相続したけれど、誰も住む予定がない…そんなケース、多いですよね。
相続物件で民泊を検討する際の最大の関門は、「権利関係の整理」です。
- 遺産分割協議は済んでいますか? 相続人が複数いる場合、その物件を誰が相続するのか、あるいは共有するのかを明確にし、法的に有効な遺産分割協議書を作成しておく必要があります。共有名義のまま民泊を始める場合は、共有者全員の同意が原則として必要です。一人でも反対する人がいれば、話を進めるのは難しくなります。
- 相続登記は完了していますか? 不動産の名義が亡くなった方のままでは、許認可申請はもちろん、売却や賃貸もできません。必ず法務局で相続登記を行い、現在の所有者を明確にしておきましょう。
これらの手続きを怠ったまま民泊の準備を進めてしまうと、後々大きなトラブルに発展しかねません。「うちは家族だから大丈夫」という油断は禁物。専門家(司法書士や行政書士)に相談しながら、きっちり整理しておくことを強くお勧めします。
【チャンス?】再建築不可物件で民泊を始める場合のポイント
次に、「再建築不可物件」。これは、文字通り「一度取り壊したら、同じ場所に同じような建物を建てられない」物件のこと。主に、建築基準法で定められた接道義務(敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していないといけない、など)を満たしていないケースが多いです。
「そんな物件、価値がないんじゃ…?」と思われがちですが、どっこい、民泊なら活路が見いだせるかもしれません!
- 既存建物をリフォーム・リノベーションして活用: 再建築はできませんが、現在の建物をリフォーム・リノベーションして利用することは可能です。古民家風の趣を残しつつ、水回りなどを現代的に改修すれば、魅力的な宿泊施設に生まれ変わらせることも。
- 消防法・建築基準法への適合は必須: 宿泊施設として利用する場合、消防法に基づく消防設備の設置(自動火災報知設備、誘導灯、消火器など)や、建築基準法上の用途変更の手続きが必要になる場合があります。特に再建築不可物件は、現行の耐震基準を満たしていないケースもあるため、専門家(建築士や行政書士)に相談し、法令を遵守できるか慎重に確認が必要です。これがクリアできないと、許可は下りません。
- 売却や建て替えが難しいからこその選択肢: 通常の不動産としては流動性が低く、買い手がつきにくい再建築不可物件。しかし、民泊として収益化できれば、固定資産税を払い続けるだけの「負動産」から、「収益を生む資産」へと転換できる可能性があります。これは大きな投資メリットと言えるでしょう。
【再建築不可物件の注意点まとめ】
チェックポイント | 詳細 | 相談先例 |
---|---|---|
法令適合性 | 建築基準法(用途変更、耐震性など)、消防法(消防設備設置義務など) | 建築士、消防署 |
リフォーム・改修範囲 | どこまで改修が必要か、費用はどれくらいか | 工務店、建築士 |
周辺環境 | 民泊運営に適した立地か、近隣の理解は得られそうか | 自身で調査、自治体 |
リスク許容度 | 大規模な修繕が必要になった場合や、災害で損壊した場合の再建は不可というリスク | 自身で判断 |
民泊開業の「始め方」ざっくりステップ
では、実際に民泊を始めるには、どんなステップを踏むのでしょうか?
- 物件の調査・選定:まずは、あなたの空き家が民泊に向いているか、立地や状態をチェック。
- 事業計画の策定:ターゲット層、料金設定、収支計画など、具体的な計画を立てます。
- 法的要件の確認:どの法律(民泊新法、旅館業法、特区民泊)で進めるか、自治体の条例はどうか、などを確認。行政書士などの専門家に相談するのがスムーズです。
- 許認可申請(届出):必要書類を揃え、管轄の保健所や自治体に申請(または届出)を行います。この申請手続きが一番の山場かもしれません。
- 施設準備:消防設備、内装、家具・家電などを整えます。
- 運営準備:集客サイトへの登録、清掃や管理体制の構築。
- 開業!:いよいよゲストを迎え入れ、運営スタートです。
各ステップで専門家のサポートを得ながら進めるのが、成功への近道と言えるでしょう。特に法律や条例が絡む部分は、自己判断せずに確認することが重要です。
最後に:空き家民泊、可能性は無限大(でも準備は慎重に!)
空き家を活用した民泊は、確かに魅力的な選択肢です。インバウンド需要の取り込み、副業としての収入確保、そして何より、社会問題化する空き家の有効活用につながります。相続物件や再建築不可物件といった、一見すると「難しい」物件でも、知恵と工夫、そして適切な法的サポートがあれば、新たな価値を生み出す可能性を秘めています。
ただし、その始め方には、法律の確認、煩雑な申請手続き、そして継続的な運営・管理という、決して低くないハードルがあるのも事実。まるで、遊べる本屋で面白い本を見つけるように、一つ一つの情報を吟味し、時には専門家の「目利き」を頼ることが大切です。
「うちの空き家、民泊できるかな?」「何から相談したらいいかわからない…」 そんな時は、どうぞお気軽に私たち専門家にご相談ください。あなたの空き家が、地域を元気にする「おもてなしの拠点」に変わる第一歩を、一緒に踏み出しましょう!
民泊の開業や運営、その他許認可申請に関する最新情報や個別のご相談については、お気軽にお問い合わせください。あなたの「やってみたい!」を形にするお手伝いができれば幸いです。
こちらもご確認ください。→民泊事業申請について
【ご注意】 この記事は、2025年5月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。民泊の開業・運営にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。