こんにちは!行政書士の栗原です。
「独自の世界観でお客様を楽しませたい!」
そんな熱い想いで、コンセプトカフェ(コンカフェ)やガールズバーの開業を目指す方が増えています。
私が店長をしていた「遊べる本屋」も、ある意味では「本屋というコンセプトの雑貨屋」でしたから、世界観を作り込む楽しさは痛いほど分かります。衣装、内装、メニュー名…妄想が膨らみますよね!
しかし、いざ準備を始めると、必ずぶつかる壁があります。
「うちはカフェ?それともバー?風営法は必要?」
「チェキ撮影は接待になるの?」
この判断を間違えると、無許可営業で摘発…なんてことになりかねません。特に最近はコンカフェ等への取り締まりも強化されています。
今回は、あいまいで分かりにくい法的な違いと、絶対に超えてはいけない「接待(せったい)」のラインについて、こっそり、でも詳しく解説します。

基本の「キ」|「看板の表記」ではなく「何をするか」で決まる
まず大前提として、お客様に料理やお酒を出す以上、保健所への飲食店営業許可の申請は絶対に必要です。
しかし、ここから先が運命の分かれ道です。
警察署への手続きは、「ガールズバー」や「コンカフェ」といった「お店の呼び名(業態名)」ではなく、「キャストがお客様に何をするか(サービス内容)」によって、以下の2つに明確に分かれます。
1. 【風俗営業1号許可(社交飲食店)】が必要なケース
- サービス内容:お客様と楽しく会話したり、遊んだりして「おもてなし(接待)」をする。
- 条件:原則、深夜0時(地域により1時)で閉店しなければならない。
- 特徴:堂々と接客ができるが、深夜営業はできない。
2. 【深夜酒類提供飲食店営業(深夜営業)】でOKなケース
- サービス内容:お酒や料理を提供するのがメイン。「おもてなし(接待)」は一切しない。
- 条件:深夜0時以降も朝まで営業できる。
- 特徴:朝まで営業できるが、キャストはお客様と密接に関われない(ただの給仕係・バーテンダーに徹する)。
つまり、「朝まで営業したいなら接待はダメ」「接待したいなら深夜営業はダメ」。
この二者択一が基本ルールです。
どこからがアウト?「接待行為」の境界線
ここで一番の問題になるのが、「何が接待にあたるのか?」です。
警察の判断基準は非常に厳しく、「少し話すくらいなら平気でしょ?」という感覚は通用しません。
現場レベルで判断される、具体的な「NGライン(接待)」を見ていきましょう。
※以下の行為をするなら、風俗営業許可が必要です。
1. カウンター越しでもNGな会話
「カウンター越しなら接待じゃない」というのは大きな誤解です。
物理的にカウンターがあっても、「特定のキャストが、特定のお客様の前にとどまり、継続的に談笑する」なら、それは接待とみなされます。
深夜営業(接待なし)としてやるなら、キャストはあくまで「バーテンダー」として、お酒を作り終えたら速やかに離れるか、作業を続ける必要があります。
2. コンカフェ・ガールズバー特有のサービス
以下の行為は、サービスの一環として行われることが多いですが、これらはすべて「接待」と判断される可能性が高いです。
- チェキ撮影・お絵かき:撮影やお絵かきのために、お客様の席に座り込んだり、長時間話し込んだりする行為。
- ゲーム・ダーツ:お客様と一緒にトランプ、ダーツ、テレビゲームなどで遊ぶこと。
- カラオケ:デュエットをする、手拍子や合いの手を入れて盛り上げる行為。
- お見送り:店外まで出て、特定のお客様と長く話す行為。
「魔法をかける」などのパフォーマンスも、特定のお客様に向けてコミュニケーションを取るものであれば「接待」とみなされる場合があります。

どっちで申請する?メリット・デメリット比較
あなたのやりたいお店は、どちらのスタイルでしょうか?
「お店の呼び名」ではなく、「やりたいこと(実態)」で選ぶ必要があります。
| 項目 | 深夜酒類提供飲食店(深夜営業) | 風俗営業1号許可(接待あり) |
| 営業スタイル | 「飲食の提供」がメイン (ショットバー、立ち飲み屋等) | 「おもてなし・遊興」がメイン (キャバクラ、スナック等) |
| 営業時間 | 24時間OK(朝まで営業可) | 原則深夜0時まで(※地域により1時) |
| 接待行為 | 一切禁止 (談笑・ゲーム・チェキ等不可) | 可能 (堂々と接客できる) |
| 場所(用途地域) | 住居系地域以外なら概ねOK | 商業地域など限定(厳しい!) |
| 申請の難易度 | 比較的スムーズ(届出) | 非常に高い(許可) |
| 費用目安 (行政書士へ依頼時) | 約5万〜15万円 (報酬+実費) | 約30万円〜 (報酬+実費) |
なぜ費用にこれだけの差が出るの?
「深夜営業」と「風俗営業」で費用の桁が違うのは、主に行政書士の作業量(報酬)の違いです。
- 深夜営業の届出:比較的簡易な図面で済むため、報酬も抑えめです。
- 風俗営業の許可:レーザー測定器を使った緻密な測量と、CADを使った建築図面並みの詳細な図面作成が必須となります。これらを行政書士に依頼するため、どうしても費用は高くなります。
最近は、摘発リスクを避けて堂々とコンセプト(世界観)を展開するために、コストをかけてでも「風俗営業許可」を取得するお店が増えています。
開業までの手続きの流れと物件の罠
いざ申請となると、どのような手順で進めれば良いのでしょうか。
- 物件探し・調査(最重要!)特に風営法(1号許可)を取る場合、「場所」の要件が非常に厳しいです。学校や病院から一定の距離(保全対象施設)が離れていないと、そもそも許可が出ません。物件契約前に必ず専門家に調査を依頼してください。
- 内装工事客室の内部が見渡せるか(高さ1m以上の仕切りがないか)、照明の明るさは十分かなど、図面段階でチェックが必要です。
- 飲食店営業許可(保健所)まずはこれをクリアしないと始まりません。
- 警察署への申請・届出測量を行い、詳細な図面を作成して提出します。風営法の場合、申請から許可まで約2ヶ月かかります(標準処理期間)。
この流れの中で、一つでもミスをすると、費用が無駄になったり、オープン日が大幅に遅れたりします。
▶ご参考:東京都福保健局 – 食品衛生の窓
まとめ:迷ったら「コンセプト」に立ち返ろう
許認可の選択は、単なる事務手続きではありません。
「どんなお店にしたいか(コンセプト)」を決めるための、重要な経営判断です。
- 朝までワイワイ飲めるバーにしたいのか?(接待なし)
- 独自の世界観で、キャストとの濃密な時間を提供したいのか?(接待あり)
それによって、選ぶべき道も、選べる物件も変わってきます。
安易に「周りもやってるから大丈夫」と判断せず、最初から法令遵守(コンプライアンス)を意識することで、長く愛されるお店を作ることができます。
もし、横浜市を中心に、神奈川県内・東京都内で開業をお考えなら、ぜひ一度ご相談ください。
「このコンセプトなら、こっちの許可のほうがいいですよ」「この物件ならいけますよ」といった、元店長ならではの視点でアドバイスさせていただきます。

お店の種類や状況によって必要な準備は様々です。「このサービスは接待になる?」「横浜市のこのエリアで開業できる?」など、具体的なご相談やご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。あなたの「夢のお店」を、法律の力でしっかりガードします。






