こんにちは!行政書士の栗原です。
「本を読みながら、ゆっくりお酒を飲める場所があったら…」 「自分の好きな本だけを集めた、秘密基地みたいなカフェバーを開きたい」
そんな夢、最高ですよね。何を隠そう、私自身も「遊べる本屋」の元店長。本が持つ力、そして本と人が出会う「空間」が持つ魅力を、誰よりも信じている一人です。本に囲まれながら過ごす時間の尊さ、本当によくわかります。
しかし、この「本」と「お酒」という最高の組み合わせで、お客様に特別な時間を提供したいというあなたの夢。それを実現するためには、実は通常の飲食店とは異なる、いくつかの特別な手続きが必要になることをご存知ですか?
特に「古書」を仕入れて販売したり、「深夜0時」を超えてお酒を提供したりする場合、飲食店営業許可だけでは足りません。 今回は、あなたの「好き」を詰め込んだ理想のブックカフェ&バーを実現するために、避けては通れない「古物商許可」と「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」という2つの申請について、元店長の視点からワクワク解説していきます!

あなたのブックカフェ&バーに必要な許可は?3つの手続きをチェック
まず、あなたの理想のブックカフェ&バーの形態によって、必要な許可・届出の組み合わせが変わってきます。
- 【飲食の基本】飲食店営業許可(管轄:保健所) →これは必須です。コーヒーや紅茶、お酒、フードなどを調理・提供するために、保健所の審査を受け、厨房設備などの条件をクリアする必要があります。
- 【古本を扱う場合】古物商許可(管轄:警察署) →お客様から買い取った本や、仕入れた古書を「販売」する場合に必要です。
- 【深夜営業する場合】深夜酒類提供飲食店営業開始届出(管轄:警察署) →深夜0時以降も、お酒を「メイン」として提供する場合に必要です。
そう、ブックカフェ&バーは「カフェ」であり、「古本屋」であり、「バー」でもある。だからこそ、複数の役所が関わってくる、ちょっと難しい業態なのです。それぞれの申請のポイントを見ていきましょう。
①【食の安全】飲食店営業許可 – すべての土台
これは全ての飲食店の基本となる許可です。
保健所がチェックする「食の安全」
飲食店営業許可は、お客様に安全な飲食物を提供できる施設か(厨房設備、手洗いなど)を保健所がチェックするためのものです。また、各店に食品衛生責任者を置くことも義務付けられています。
この許可なく営業することは、もちろん違法です。まずはこの許可を取得することが、全ての準備のスタートラインとなります。
▶ご参考:横浜市 – 飲食店営業許可について
②【本の売買】古物商許可 – 古書を「売買」するためのルール
ここがブックカフェ&バー特有のポイントです。もしあなたのお店が、新刊だけを仕入れて売る本屋なら不要ですが、「古書」を扱うなら話は別です。
なぜ古本を売るのに警察の許可が?
「古物営業法」という法律は、盗品の流通を防ぐ目的があります。そのため、一度誰かの手に渡ったもの(古物)を、買い取ったり、仕入れたりして「商売として」販売する場合は、管轄の警察署(生活安全課)の古物商許可が必要になります。
- 許可が必要な例:
- 古本市場で仕入れた本を販売する。
- お客様から古本を買い取って販売する。
- 許可が不要な例:
- 自分の蔵書をお店に置いて、お客様に読んでもらうだけ(販売しない)。
- 新刊書店から仕入れた新品の本を販売する。
この許可がないまま古書の売買を行うと「無許可営業」となり、重い罰則の対象となります。
古物商許可の申請で注意すべきこと
飲食店営業許可と違い、申請する人の「経歴(欠格事由に該当しないか)」や、「営業所」の独立性などが審査されます。手続きや必要書類も全く異なるため、保健所への申請とは別に、警察署向けの準備が必要です。
▶ご参考:神奈川県警察 – 古物商許可申請

③【深夜の営業】深夜酒類提供飲食店営業開始届出 – 深夜0時の壁を越えるため
「本と酒と夜ふかしと」というコンセプトを実現するなら、この届出が不可欠です。
深夜0時の壁と「主食」のルール
飲食店営業許可だけでは、原則として深夜0時以降にお酒を「メイン」として提供することはできません。深夜も営業するラーメン屋さんがOKなのは、彼らが「主食(ラーメン)」を提供しているからです。
あなたのブックカフェ&バーが、深夜0時以降も「お酒やおつまみがメイン」の営業スタイル(=主食を提供しない、または主食がメインではない)をとる場合は、飲食店営業許可とは別に、警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」(通称:深夜酒類の届出)を提出する必要があります。
最も難しい関門:「用途地域」という物件の条件
この手続きで最大の難関が、物件の場所に関する条件です。 風営法により、深夜にお酒をメインで提供するお店は、「住居専用地域」など、営業が禁止されているエリアでは開業できません。
「この静かな路地裏で、隠れ家的なお店を…」と思っても、その物件が法律でNGな場所だったら、深夜営業の夢は叶いません。費用をかけて内装工事をした後では手遅れです。

冒険の正しい「流れ」:申請タイミングが命!
さて、やるべき手続きが3つも見えてきました。ここで最大の注意点。これらは申請から許可・受理までの流れと時間が全く異なります。
- 飲食店営業許可(保健所):工事完了後、検査を経て許可。約2〜3週間。
- 深夜酒類届出(警察署):工事完了後、届出をしてから10日後に営業開始可能。
- 古物商許可(警察署):申請してから許可が下りるまで約40営業日(=約2ヶ月)かかります。
お分かりでしょうか?もしオープンと同時に古本の販売も始めたいなら、古物商許可の申請だけは、他の手続きよりも1〜2ヶ月早くスタートしなければならないのです。
おすすめの申請フロー
STEP 1:コンセプトと物件候補地の選定 「深夜営業はしたいか?」「古本は売りたいか?」を決め、候補となる物件を見つけます。
STEP 2:【最重要】契約「前」のトリプル相談 契約書にサインする前に、必ず以下の相談を行います。私たち行政書士は、この最も重要で難しい「事前相談」の段階からサポートに入り、物件が全ての条件を満たすか法的に確認します。
保健所へ:お店の図面を持参し、「このレイアウトで飲食店営業許可は取れるか?」を相談。
警察署(生活安全課)へ:同じ図面で、「この場所・このレイアウトで深夜酒類提供の届出は受理されるか?」「古物商許可の営業所として問題ないか?」を相談。特に用途地域はここで確認します。
STEP 3:物件契約 & すぐに「古物商許可」の申請! すべての窓口から「OK」をもらえたら、物件の契約に進みます。そして、内装工事の開始と同時に、最優先で「古物商許可」の申請手続きに入ります。
STEP 4:工事 & 資格取得 工事と並行し、食品衛生責任者の資格取得(まだの場合)や、他の書類準備を進めます。
STEP 5:飲食店許可 & 深夜酒類届出の申請 工事完了の目処が立った時点(例:完了の2~3週間前)で、保健所へ「飲食店営業許可」を申請し、検査日を調整します。同時に、警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業届出」を提出します(これは営業開始の10日前まで)。
STEP 6:許可証・届出済証の受領 → 開業! この流れで進めれば、飲食店のオープンとほぼ同じタイミングで古物商の許可証も手にでき、全機能そろったブックカフェ&バーとしてスタートが切れます。
まとめ:手続きは、あなたの「好き」を守るための装備
ブックカフェ&バーの開業は、通常の飲食店に比べ、「古物商」と「深夜酒類」という2つの手続きが加わるため、確かに少しだけ難しいかもしれません。しかし、それは、あなたがお客様に「より深く、より自由な時間」を提供しようとしている証拠でもあります。
私が店長だった本屋も、ただ本を並べるだけではなく、様々な雑貨を組み合わせたり、イベントを企画したりすることで、他にはない「遊べる」空間を目指していました。あなたのブックカフェ&バーも、その「こだわり」を実現するために、必要な手続きという名の「装備」を、冒険の地図にしっかり書き込んでおきましょう。
お店のコンセプト、物件の状況、そして特に横浜市や川崎市など首都圏での用途地域の条件など、あなたの開業計画には様々な個別の条件が関わってきます。
「私のプランは、どの手続きが必要?」「図面の準備が難しい…」といった、構想段階や物件探しの段階からのご相談も大歓迎です。具体的なご相談やご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。元店長として、そして行政手続きの専門家として、あなたの「こだわりが詰まったお店」の実現を全力でサポートさせていただきます。








