【ヴィンテージショップ開業】その”ディグ”は合法?ヴィンテージ雑貨の仕入れと古物商許可の話

蚤の市の雑多なガラクタの中から、完璧な状態の60年代のポスターを発見する。 埃をかぶった段ボール箱の奥で、キラリと光るファイヤーキングのマグカップを掘り出す。

その「ディグる」瞬間、たまらないですよね。

こんにちは!元「遊べる本屋」店長の行政書士、栗原です。僕がやっていたお店も、問屋さんの倉庫の隅っこをディグって、「何だこれ!?」という変な雑貨や面白い本を見つけ出すのが仕事の半分でした。自分の審美眼を信じて掘り出した宝物が、お客様の手に渡って喜ばれる。これこそ、商売の醍醐味です。

しかし、その最高のディグ、もしビジネスとして行うなら、法的にクリアかどうか、考えたことはありますか?

「お客様からの買取」「海外でのバイイング」…その仕入れ方法、本当に大丈夫でしょうか。あなたの審美眼を、後ろめたさのない、法律的に問題の無いビジネスに変えるための必須ライセンス「古物商許可」。今回は、ヴィンテージショップ開業の夢を、確かなものにするための核心だけを語ります。

その”ディグ”は合法?趣味とビジネスを分ける決定的な境界線

まず、この問題を考える上での大原則からお話しします。「そのディグは合法?」という問いの答えは、あなたの「目的」によって変わります。

趣味のコレクションと、ビジネスのための「仕入れ」

あなたが自分で楽しむため、自分のコレクションを充実させるために雑貨をディグるのは、もちろん自由な趣味の世界です。許可は必要ありません。

問題となるのは、ここからです。 「転売して利益を得る」という目的が加わった瞬間に、あなたのディグは、趣味からビジネスとしての「仕入れ」に変わります。蚤の市やリサイクルショップで中古の雑貨を買い、それを売って営業利益を上げる。この行為には、古物商の許可が絶対に必要になるのです。

なぜヴィンテージ雑貨の仕入れに許可が必要なのか?

古物営業法という法律は、盗品の流通を防ぎ、安全な中古品市場を作るために存在します。お客様から見れば、あなたが売っているその素敵なヴィンテージ雑貨が、もし盗品だったら…と考えると、安心して買い物ができませんよね。

したがって、ヴィンテージショップ開業のように、中古品を扱うビジネスには、警察署にきちんと申請して許可を得ることが、お客様からの信頼を得て、適法に営業を行うための、絶対条件となっているのです。

【仕入れ方法別】あなたのヴィンテージショップ開業プランと許可の要否

では、具体的な仕入れ方法ごとに、古物商許可が必要かどうかを見ていきましょう。あなたの開業プランはどれに当てはまりますか?

ケース①:国内の蚤の市・リサイクルショップ・個人からの買取

結論から言うと、許可は「絶対に必要」です。

国内で、一度誰かの手に渡った中古の雑貨を買い取る行為は、古物営業のど真ん中です。有名なリサイクルショップチェーンで仕入れる場合も、お客様から直接商品を買い取る場合も、すべて「古物の買取」にあたります。これは、ヴィンテージショップ開業を目指すなら、必ずクリアしなければならない基本中の基本です。

ケース②:海外でのバイイング・買い付け

結論は、原則として許可は「不要」です。

あなたが自分で直接海外に赴き、現地のマーケットやディーラーからヴィンテージ雑貨を買い付けて、日本に持ち帰って販売する場合。この「買い付け」という行為は海外で行われているため、日本の古物営業法は適用されません。つまり、「そのディグは合法?」と聞かれれば、このケースはYESです。

ただし、国内のインポーター(輸入業者)から「すでに輸入済みのヴィンテージ雑貨」を仕入れる場合は、取引場所が「国内」になるため、許可が必要になるのでご注意ください。

ケース③:新品の雑貨とヴィンテージ雑貨を混ぜて販売

結論は、ヴィンテージを1点でも扱うなら「必要」です。

「うちは新品の雑貨がメインだから」という理屈は通用しません。たとえお店の商品の99%が新品でも、たった1%でも中古品を仕入れて販売するのであれば、そのお店全体として古物商の許可が必要になります。これは、多くの雑貨店の開業で見落とされがちなポイントです。

ヴィンテージショップ開業のための「古物商許可」申請のポイント

ヴィンテージショップ開業を目指すあなたが、許可申請をする際の、特有のポイントを解説します。

どの「品目」で申請する?雑貨屋さんのための品目選び

古物商許可の申請では、扱う商品を13の分類(品目)から選びます。ヴィンテージ雑貨や、一般的なリサイクルショップで扱う商品のほとんどは、以下の品目に含まれます。

  • 道具類: 家具、食器、おもちゃ、楽器、スポーツ用品、ゲームなど、非常に範囲が広い万能品目です。
  • 美術品類: 骨董品、絵画、アンティーク品など、芸術的価値の高いものを扱う場合。
  • 衣類、皮革・ゴム製品類: ヴィンテージの服やバッグ、靴も扱う場合。

あなたの審美眼が光る雑貨たちが、どの品目に分類されるか、迷ったら警察署に事前相談するのが確実です。

▶ご参考: 埼玉県警 13品目の解説

営業所はどこにする?自宅でのネットショップ開業

実店舗を持たず、自宅を営業所としてネットショップから開業することも、もちろん可能です。その場合、賃貸であれば大家さんの許可を取る、マンションであれば管理規約を確認するといった、場所のルールをクリアすることが、申請の第一歩となります。この開業スタイルは、初期投資を抑えられる賢い選択肢の一つです。

まとめ – あなたの審美眼を、信頼されるビジネスに変えよう

ヴィンテージショップ開業の成功は、あなたの「審美眼(モノを見抜く力)」と、法律を守る「誠実さ」の両輪があってこそ成り立ちます。

そのディグは合法?」 この問いに、いつでも胸を張って「YES」と答えるためのパスポートが、古物商許可です。

面倒に思える申請手続きは、あなたの素晴らしい審美眼で掘り出された雑貨たちが、お客様の元で安心して輝き続けるための、愛情のこもった一手間。ぜひ、その手間を惜しまないでください。あなたのリサイクルショップやヴィンテージショップが、長く愛されるお店になるために。

▶ご参考:e-Gov法令検索 – 古物営業法

▶ご参考:神奈川県警察 – 古物営業


「私のヴィンテージショップ開業計画、法務の面から一緒にディグってみませんか?」 「この雑貨の品目は、一体どれなんだろう?」

など、あなたの開業準備に関する具体的なご相談がありましたら、いつでもお気軽にお声がけください。あなたの夢の城作りを、全力でサポートします。

古物商許可申請についてはこちらもご覧ください。


Warning

この記事は、2025年6月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。古物商の許可申請にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。

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    くりはら行政書士事務所

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