【古着屋・リサイクルショップ開業希望者へ】店舗型古物商、成功の鍵は「許可」と「三大義務」にあり!

シャッターをガラガラと開け、店内の照明をつける瞬間の、あの高揚感。 お客様が、山積みの古着の中からお宝の一着を見つけ出し、「これ、探してたんです!」と笑顔になる喜び。

リアルな「店舗」を持つこと。それは、ビジネスオーナーにとって、何物にも代えがたい夢であり、ロマンですよね。

こんにちは!元「遊べる本屋」店長の行政書士、栗原です。私も長年、物理的な「お店」という空間で、お客様と笑ったり、時には悩んだりしながら商売をしてきました。お店は、夢とロマンが詰まった、あなただけの「城」です。

しかし、その大切な城を守り、永く繁栄させていくためには、「法律」という名の強固な城壁が絶対に必要です。

今回は、古着屋やリサイクルショップを開業したいあなたへ。店舗型古物商、成功の鍵となる、開業前の「許可」と、開業後に絶対に守るべき「三大義務」について、元・店長の視点から、どこよりも分かりやすく解説します!

成功の鍵①:あなたの城(店舗)に入るための「古物商許可申請」

まず、夢の城に入るための「パスポート」、それが「古物商許可」です。ネットでの営業と違い、店舗型古物商ならではの申請のポイントが存在します。

ネット営業との最大の違い – 「営業所」の物理的な要件

店舗型古物商の場合、お客様が実際に訪れるその「店舗」が、法律上の「営業所」となります。したがって、申請の際には、ネット営業以上に物理的な環境がチェックされる傾向にあります。

  • 独立した管理ができるか: 他の店舗と明確に区画されているか、など。
  • 防犯上の配慮: お客様から買い取った商品を安全に保管できるか(鍵のかかるストックルームや棚など)。

警察署によっては、申請後に担当者が店舗の状況を直接確認しに来る「現地確認」が行われることもあります。以前の記事でも触れましたが、店舗の賃貸契約を結ぶ前に、その物件の資料を持って警察署に「この場所で古着屋を開きたいのですが、営業所として問題ないでしょうか?」と事前相談に行くのが、失敗しないための鉄則です。

忘れずに掲げる、信頼の証「標識」

無事に許可が下りたら、許可証と共に交付される「標識(許可プレート)」を、お店の入口など、お客様から見やすい場所に必ず掲示しましょう。

これは、単なる飾りではありません。「当店は、法律を守ってクリーンな営業を行う、信頼できるお店です」ということを、お客様や地域社会に示す、何よりの証なのです。この小さな標識が、店舗型古物商、成功の鍵の一つとなります。

成功の鍵②:お店を守り育てるための「古物商の三大義務」

さて、許可を取ってお店をオープンさせたら、いよいよ本番です。ここからは、お店を安全に、そして永く続けるために絶対に守らなければならない「古物商の三大義務」について解説します。

義務その1:「本人確認義務」 – お客様との最初の信頼関係づくり

これは、お客様から商品を買い取る際に、その相手が誰であるかを確認する義務です。

  • なぜ必要?: 万が一、その品物が盗品だった場合に、持ち込んだ人物を警察が追跡できるようにするためです。
  • どうやるの?: 運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書を提示してもらい、氏名・住所・年齢などを確認します。

ポイント: この手続きを、ただの事務作業にしないでください。「法律で定められた大切な手続きですので、ご協力をお願いします」と丁寧に説明することで、お客様に「この店はしっかりしているな」という安心感を与えることができます。これが、店舗型古物商における最初の信頼関係づくりです。

義務その2:「帳簿記載義務」 – あなたのお店を守る最強の記録

買い取った商品について、法律で定められた事項を「古物台帳」に記録する義務です。

  • 何を記録する?: ①取引の年月日、②古物の品目と数量、③古物の特徴、④相手の氏名・住所・年齢、⑤相手の確認方法、などを記録します。
  • 例外はある?: 買取価格が1万円未満の「衣類」など、一部免除されるケースもあります。しかし、店舗型古物商としては、お客様とのトラブル防止や、正確な在庫管理のためにも、全ての買取について記録することを強く推奨します。

この古物台帳は、警察の捜査に協力するためだけでなく、あなたのお店の健全性を証明し、経営を守るための最強の記録となるのです。

義務その3:「品触れ(不正品申告義務)」 – あなたが地域の防犯ヒーローになる瞬間

少し聞き慣れない言葉かもしれませんが、「品触れ(しなふれ)」への協力と、不正品の申告義務です。

  • 品触れとは?: 警察署から「最近、こんな品物が盗まれました」という手配書(品触れ書)が送られてきた際に、それに該当する商品がないか確認し、もしあれば報告する義務です。
  • 申告義務とは?: お客様が持ち込んだ品物が「どうも怪しい…盗品かもしれない」と感じた場合に、速やかに警察署に申告する義務です。

これは、お店に課せられた義務であると同時に、地域の安全を守る防犯ネットワークの一員としての、誇り高い役割でもあります。

「三大義務」を怠ったお店の、残念な末路

もし、これらの古物商の三大義務を「面倒だから」と怠ってしまうと、どうなるのでしょうか。 まず、警察署からの指導や是正命令を受けます。それでも改善されない悪質なケースでは、「営業停止処分」、そして最悪の場合は「許可の取り消し」という、非常に重い行政処分が下される可能性があります。

せっかく時間とお金をかけて築いたあなたの夢の城が、たった一度のルール違反で崩れ去るのは、あまりにも悲しいですよね。

▶ご参考:警視庁 – 古物営業者の皆さんへ(義務についての詳細が確認できます)

▶ご参考:e-Gov法令検索 – 古物営業法

▶ご参考:神奈川県警察 – 古物営業

まとめ – ルールは、あなたの「好き」を永く続けるための味方である

店舗型古物商、成功の鍵。 それは、センスの良い商品を並べることや、おしゃれな内装にこだわることと同じくらい、法律というルールを正しく理解し、味方につけることです。

開業前の「許可申請」が、あなたの城へのパスポートだとすれば、開業後の「三大義務」は、その城を永く、そしてお客様から愛され続けるための、信頼の羅針盤です。ルールは、あなたを縛るものではなく、あなたの「好き」という気持ちを、ビジネスとして永続させるための、一番の味方なのです。


「お店のレイアウト、営業所の要件として大丈夫かな?」 「スタッフへの三大義務の教育、どうすればいいんだろう?」 「自分で申請しようと思ったけど、やっぱり不安…」

など、あなたの城作りに関する具体的なご相談がありましたら、いつでもお気軽にお声がけください。行政書士として、そしてお店作りの先輩として、あなたの挑戦を全力でサポートします。

古物商許可申請についてはこちらもご覧ください。


Warning

この記事は、2025年6月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。古物商の許可申請にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。

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    くりはら行政書士事務所

    代表:
    栗原 弘直
    -行政書士登録番号:24091288
    ‐神奈川県行政書士会 緑支部所属
    ‐申請取次行政書士
    ‐著作権相談員

    営業時間:
    10:00~18:00(土・日・祝日定休)

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    神奈川県横浜市緑区白山

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