立ち飲み屋開業は「狭さ」が武器!5坪でもOK?保健所が唸る厨房レイアウト術

こんにちは!行政書士の栗原です。

仕事帰りにふらっと立ち寄れる、あの気軽さ。カウンター越しに交わされる、ちょっとした会話。立ち飲み屋って、独特の魅力がありますよね。少ない初期費用で開業できる物件が見つかりやすいのも、大きなメリットです。

私が店長だった「遊べる本屋」も、決して広いお店ではありませんでした。限られたスペースに、どうやって面白い本や雑貨を詰め込んで、お客様がワクワクする空間を作るか。その試行錯誤は、まるでパズルを解くようで、大変ながらも最高に楽しかった記憶があります。

しかし、立ち飲み屋開業において、その「狭さ」が大きな壁になる瞬間があります。それが、保健所の飲食店営業許可を取得するための厨房(キッチン)設計です。どんなに小さなお店でも、食の安全を守るためのルールは変わりません。「5坪だからシンクは1つでいいや」なんて甘い考えは、通用しないのです。

そこで今回は、その「狭さ」をむしろ武器に変え、保健所の担当者も「なるほど!」と唸るような、賢い厨房レイアウトの秘訣を、元店長行政書士として伝授いたします!


なぜ狭くても許可基準は同じなのか?保健所の「絶対ゆずれない一線」

まず、大前提として理解しておくべきことがあります。それは、たとえ100坪のレストランであろうと、5坪の立ち飲み屋であろうと、食中毒などを防ぐための基本的な衛生基準(条件)は同じだということです。保健所の視点は、お店の広さではなく、「お客様に安全な飲食物を提供できるか」の一点に尽きます。

特に、横浜市のような都市部をはじめ、神奈川県内や東京都内など首都圏の保健所は、多くの飲食店を管轄しているため、基準の適用は厳格です。彼らが特に重視するのは、「清潔な作業区域」と「汚染の可能性がある区域」が、きちんと区別・管理されているかという点。これが、どんなに狭い厨房でも、最低限必要な設備が定められている理由なのです。この準備を怠ると、申請そのものが難しいものになってしまいます。

▶ご参考:厚生労働省 – 飲食店営業許可について


立ち飲み屋の「心臓部」!保健所が絶対見る厨房の必須設備リスト

では、具体的にどんな設備が「絶対に必要なのか」。これは、立ち飲み屋開業手続きを進める上で、最初に把握すべき最重要ポイントです。

最低限これだけは!必須設備のリストアップ

  • シンク(流し):これが最大の難関です。原則として「2槽以上のシンク」が必要です。食材を洗うシンクと、食器を洗うシンクを分けるためですね。サイズ規定は自治体で異なりますが、一定の大きさ(例:幅45cm×奥行36cm×深さ18cm以上など)が求められます。
  • 従業員専用の手洗い設備:これも必須。お客様用トイレの手洗いとは別に、厨房内(または隣接した場所)に、専用の手洗い器(+石鹸、消毒液)が必要です。
  • 給湯設備:上記のシンク、手洗い器の両方から、ちゃんとお湯が出ることが求められます。
  • 冷蔵設備:食材を適切な温度で保管するための冷蔵庫(温度計付き)。
  • 食器棚:ホコリなどから食器を守るため、「戸付き」であることが重要です。
  • 換気設備:調理の熱や煙を排出するための換気扇など。
  • 蓋付きのゴミ箱:衛生管理の基本ですね。

これらの設備を、あの限られたスペースにどう配置するかが、腕の見せ所なのです。

忘れちゃいけない「食品衛生責任者」

設備だけでなく、「人」の要件も忘れてはいけません。各店舗に必ず1名、食品衛生責任者の資格を持つ人を置く必要があります。資格がない場合は、保健所に申請する前に、食品衛生協会が実施する講習会を受講して資格を取得しましょう。


5坪の魔法!保健所を唸らせる狭小厨房レイアウト術

さあ、ここからが本番です。限られたスペースに、上記の必須設備を詰め込み、かつ使いやすく、保健所の条件もクリアする。そんな魔法のようなレイアウト術のアイデアをご紹介します。


アイデア①:シンクは「サイズ規定ギリギリ」を狙え!

二槽シンクは必須ですが、そのサイズ規定は自治体によって微妙に異なります。横浜市など、都市部では比較的コンパクトなサイズでも認められる場合があります。まずは管轄の保健所に最小サイズを確認し、規定ギリギリのシンクを選ぶことで、貴重なスペースを確保できます。シンク下のスペースも、給排水管を工夫して収納に活用しましょう。

アイデア②:壁を制する者は、厨房を制す!「縦空間」の徹底活用

床面積が限られているなら、壁を最大限に活用しましょう。吊り棚やウォールシェルフを設置すれば、食器や調理器具の収納スペースが生まれます。ただし、地震対策として落下防止の工夫は必須です。また、すぐに取り出したい調理器具は、マグネットホルダーなどで壁に貼り付けるのも有効です。

アイデア③:「多機能」「小型」は正義!省スペース設備の賢い選択

最近は、省スペース設計の厨房機器も増えています。例えば、作業台と一体になった小型冷蔵庫(コールドテーブル)、卓上型のフライヤーやコンロなどです。初期費用は少し高くつくかもしれませんが、スペース効率を考えれば十分に元が取れる投資と言えるでしょう。

アイデア④:脳内シミュレーションで完璧な「動線」を描く

図面上で完璧に見えても、実際に動いてみると「ここで体がぶつかる」「冷蔵庫の扉が開けにくい」といった問題が出てくるものです。メジャー片手に、実際の厨房スペースで、料理の提供から洗い物までの流れを何度もシミュレーションしましょう。スムーズな動線は、作業効率だけでなく、衛生管理の面でも重要です。

【絶対厳守】契約「前」に、保健所へ図面相談!

そして、これが最も重要です。どんなに素晴らしいレイアウトを考えても、保健所が「これでは許可基準を満たせない」と判断すれば、全てが水の泡です。

気になる物件が見つかったら、賃貸契約を結ぶ前に、必ず厨房の予定図面を持って、管轄の保健所に事前相談に行ってください。「この広さ、このレイアウトで立ち飲み屋の飲食店営業許可は取得可能でしょうか?」と、担当者に直接確認するのです。ここでOKをもらえれば、安心して次のステップに進めます。この手続きを飛ばすのは、羅針盤を持たずに航海に出るようなものです。

▶ご参考:横浜市 – 食品衛生に関する相談窓口


許可申請の「流れ」と心構え

保健所の事前相談でOKが出たら、いよいよ本格的な準備と申請です。

  1. 物件契約・内装工事:保健所のアドバイスに基づき、厨房設備を設置します。
  2. 食品衛生責任者の資格取得:まだの方は、この段階で取得しましょう。
  3. 申請書類の準備:申請書、厨房の図面、食品衛生責任者の資格証明書などを揃えます。
  4. 保健所へ申請:書類一式を提出します。費用(申請手数料)もこの時に支払います。(例:横浜市では16,000円~)
  5. 施設検査:保健所の担当者がお店に来て、図面通りか、衛生的に問題ないかをチェックします。
  6. 許可証の交付:検査に合格すれば、晴れて許可証が交付され、営業開始です!

この一連の流れは、通常1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかります。特に施設検査の日程調整がスムーズにいかないこともあるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。

▶ご参考:神奈川県 – 食品衛生(営業許可・届出等)


まとめ:狭さは「知恵」で武器になる!

立ち飲み屋開業における厨房設計、いかがでしたでしょうか。確かに「狭さ」は物理的な制約です。しかし、それは同時に、知恵と工夫で乗り越えるべき、面白い「パズル」でもあります。

  • 保健所の求める必須条件を正確に理解する。
  • 限られたスペースを最大限に活かすレイアウトの知恵を絞る。
  • そして、契約「前」に必ず保健所に相談する。

この3つの鉄則を守れば、たとえ5坪の小さな物件でも、飲食店営業許可を取得し、お客様に愛される素敵なお店を作ることは、決して難しいことではありません。

私が店長だった本屋も、狭いからこそ生まれたアイデアや、お客様との距離の近さがありました。あなたの立ち飲み屋も、きっとその「狭さ」が、他にはない魅力と温かさを生み出すはずです。


お店の広さや形状、提供したいメニューによって、最適な厨房レイアウトや必要な手続きは異なります。特に横浜市や川崎市など、都市部の物件は制約が多いことも。具体的なご相談や、「このレイアウトで許可が取れるか不安…」といった点がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。元店長として、そして行政手続きの専門家として、神奈川県内、東京都内をはじめ首都圏の皆様の「お店作り」の夢を全力でサポートさせていただきます。

飲食店営業許可についてはこちらもご覧ください。


Warning

この記事は、2025年9月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。飲食店の許可申請にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。

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    くりはら行政書士事務所

    代表:
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    -行政書士登録番号:24091288
    ‐神奈川県行政書士会 緑支部所属
    ‐申請取次行政書士
    ‐著作権相談員

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