【飲食店開業】警察はココを見る!バーの深夜営業許可を左右する「店舗構造」3つのポイント

こんにちは!行政書士の栗原です。

「大人の隠れ家のような、迷路みたいに入り組んだバーを作りたい」 「カップルが落ち着けるように、背の高いソファで個室感を出したい」

お店のコンセプトを練る時、内装の妄想は膨らみますよね。私が店長だった「遊べる本屋」でも、あえて本棚を迷路のように配置して、「次は何があるんだろう?」というワクワク感を演出していました。

しかし、もしあなたが深夜0時以降にお酒を提供するバーを開業しようとしているなら、その「こだわりの内装」が、警察署での手続きにおいて致命的なNGになる可能性があることをご存知でしょうか?

飲食店営業許可を取るための保健所の検査と、深夜にお酒を出すための警察署への届出(深夜酒類提供飲食店営業開始届出)。この二つは、見るポイントが全く違います。

  • 保健所:「清潔か?安全か?」
  • 警察署:「見通しが良いか?隠れて悪いことができないか?」

今回は、多くのオーナー様が図面を見て頭を抱える、警察署が厳しくチェックする「店舗構造」の3つのポイントについて、元店長行政書士が徹底解説します。


ポイント1:魔の「1メートル」ルール!仕切りや椅子の高さに注意

警察署が最も目を光らせるのが、「客室内部に見通しを妨げる設備がないこと」という条件です。

具体的には、床面から高さ1メートル以上の仕切り、つい立て、カーテン、背の高い椅子、観葉植物などを設置してはいけません。

なぜ1メートルなのか?

これは、お店の中で違法行為や風紀を乱す行為が行われないよう、従業員や他の客から常に店内が見渡せる状態にするためです。

「座った時に落ち着くように、背もたれが高いソファを置きたい」 「ボックス席を背の高いパーティションで区切りたい」

これらは、カフェやレストランなら素敵なアイデアですが、深夜営業のバーではNGとなる可能性が非常に高いです。1メートルというのは、大人の腰くらいの高さ。思った以上に低いです。

対策: 深夜営業をするなら、仕切りは1メートル未満に抑えるか、そもそも設置しないレイアウトにするのが無難です。どうしても区切りたい場合は、格子状や透明な素材でもNGとなるケースが多いため、事前に所轄の警察署(生活安全課)へ相談することが不可欠です。

▶ご参考:警視庁 – 深夜酒類提供飲食店営業の届出(構造及び設備の基準)


ポイント2:VIPルームは作れる?「個室」の面積要件

「VIPルームを作りたいのですが…」 これもよくあるご相談です。深夜営業のバーで、完全に仕切られた個室を作ることはできるのでしょうか?

狭い個室はNG!「9.5平方メートル」の壁

風営法(および関連条例)では、客室を設ける場合、1室の床面積を9.5平方メートル(約5.7畳)以上にしなければならない、という規定があります。(※地域により適用が異なる場合がありますが、原則として狭い密室は「善良な風俗を害する恐れがある」とみなされます)

つまり、2〜3人用の小さな個室をたくさん作る、といったレイアウトは、深夜営業のバーとしては認められません。

対策: 個室を作るなら、十分な広さ(9.5㎡以上)を確保する。それが物件の広さ的に難しい場合は、扉をつけず、壁も作らず、あくまで「コーナー」として、店内のどこからでも見通せるような作りにする必要があります。


ポイント3:照明と鍵。意外な落とし穴

構造だけでなく、設備にも細かいルールがあります。

店内の明るさ(照度)

「バーだから真っ暗にしたい」 気持ちは分かりますが、これもNGです。客室内の照度は20ルクス以上(上映ホールなどを除く)でなければなりません。20ルクスとは、新聞が読めるか読めないかギリギリ…よりは少し明るいくらい、上映前の映画館くらいの明るさです。

調光器(スライダックス)をつけて、検査の時だけ明るくすればいいや…と思っていると、抜き打ちの立入検査で指導を受けることになります。基本的に、つまみを回せばすぐに暗くできるような構造は、警察署から指摘を受けやすいポイントです。

鍵(施錠設備)のルール。「防犯」はOK、「密室」はNG

ここが最も誤解されやすいポイントです。 「鍵をつけちゃいけないって、閉店後はどうするの?」と驚かれるかもしれませんが、安心してください。閉店後に施錠する、通常の鍵(シリンダー錠やシャッター)はもちろんOKです。

問題となるのは、「営業中に、客室を密室にするための鍵」です。 風営法では、客室内に「見通しを妨げる設備」を設けてはならないという規定の延長で、以下のような設備がNGとされます。

  • 個室のドア 内側から鍵がかかる「内鍵」や「スライドロック」などは一切NGです。お客様が中から鍵をかけて、外から入れない状態(密室)を作れる構造はいけません。
  • 店舗の入り口 オートロックや、特定の会員しか開けられない電子錠などを使い、営業中に外から(警察などが)自由に入れないようにする構造や運用は認められません。

つまり、「閉店後に施錠する鍵」は必須ですが、「営業中に客室を密室にする鍵」は禁止ということです。この違いをしっかりと理解して、ドアノブや錠前を選びましょう。

▶ご参考:e-Gov法令検索 – 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則


失敗しないための「順番」:契約前に図面チェック!

これらの基準を知らずに内装工事を完了させてしまい、警察署への届出の段階で「これでは受理できません」と言われたら…。 壁を壊し、椅子を買い替え、照明を増やす。追加の費用と時間は計り知れません。

だからこそ、飲食店営業許可の申請や内装工事を始める前に、以下の流れで進めることが鉄則です。

  1. 物件探し:用途地域(営業できる場所か)を確認。
  2. 図面作成内装業者建築家に「深夜営業をするので、1m以上の仕切りはNG、個室の広さは9.5㎡以上」といった法的条件を明確に伝えて設計してもらう。
  3. 事前相談図面を持って、管轄の警察署(生活安全課)へ行く。
  4. 契約・工事:警察署の担当者から「この図面なら問題ない」と言質を取ってから着工。

特に横浜市や東京都内など首都圏の警察署は、図面チェックが非常に厳格です。私たち行政書士は、この図面チェックの段階からサポートに入り、警察署との協議を代行することも可能です。


まとめ:制限の中でこそ、クリエイティブな店作りを

「あれもダメ、これもダメで、作りたい店が作れない!」 そう思われるかもしれません。しかし、私が本屋の店長時代に学んだのは、「制限があるからこそ、工夫が生まれる」ということです。

  • 背の高い仕切りが置けないなら、視線をずらすような席の配置を考える。
  • 照明を明るくしなければならないなら、間接照明を駆使して、明るくても落ち着く空間を作る。

法律という「枠」を知り、その中で最大限に遊ぶ。それこそが、プロの店作りだと私は思います。 警察署の基準をクリアしつつ、お客様が心からリラックスできる、あなただけの最高のバーを作り上げてください。



お店のコンセプトや物件の形状によって、「これは見通しを妨げる?」という判断は非常に難しい場合があります。特に横浜市を中心に神奈川県内・東京都内での開業をご検討中で、図面チェックや警察署への届出に不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。元店長として、そして行政手続きの専門家として、あなたの「理想の空間作り」を全力でサポートさせていただきます。

飲食店営業許可についてはこちらもご覧ください。


Warning

この記事は、2025年9月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。飲食店の許可申請にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。

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    -行政書士登録番号:24091288
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    ‐著作権相談員

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