【海外から仕入れて国内で販売】そのビジネス、古物商許可は必要?輸入ビジネスと古物営業法の関係

「海外のECサイトで見つけた、日本未発売のスニーカー」 「現地の工場と直接交渉して買い付けた、オリジナルのアパレル商品」 「ヨーロッパの蚤の市で出会った、一点もののアンティーク雑貨」

世界中の魅力的な商品を、日本の消費者に届ける。輸入ビジネスには、そんなロマンと大きな可能性がありますよね。

こんにちは!元「遊べる本屋」店長の行政書士、栗原です。僕もお店を始めた頃は、見本市に飛んで行っては、まだ誰も知らないような面白い文具や洋書を見つけ出し、スーツケースに詰め込んで帰ってくる、なんてことをしていました。あのワクワク感は、ビジネスの大きな原動力になります。

しかし、ちょっと待ってください。 海外から仕入れて国内で販売する、そのビジネスモデルに「古物商許可」が必要かどうか、考えたことはありますか?

「え、海外からの仕入れに日本の法律は関係ないんじゃ?」 「“新品”を扱っているから大丈夫なはず…」

実は、その判断、一歩間違えると「無許可営業」になってしまう、意外な落とし穴があるのです。今回は、輸入ビジネスと古物営業法の関係という、少し複雑なテーマをスッキリ整理し、あなたのビジネスに許可が必要かどうかの判断基準を、明確に解説していきます!

大原則:古物営業法は「国内の中古品取引」を取り締まる法律

まず、複雑な話の前に、古物営業法の「基本理念」を思い出しましょう。この法律の目的は、あくまで**「“国内”で盗まれた品物の流通を防ぐこと」**です。

この大原則から、輸入ビジネスと古物営業法の関係を解き明かす、2つの重要なポイントが見えてきます。

  1. 法律の対象は「古物」だけ :「古物」とは、「一度使用された物品」や「未使用でも取引された物品」のこと。したがって、誰も使っていない完全な「新品」は、そもそも古物営業法の対象外です。
  2. 規制される行為は「国内での買取・交換」: 法律が規制しているのは、国内で行われる古物の「買取」や「交換」です。つまり、取引の舞台が海外であれば、原則として日本の法律は適用されません。

この2つのポイントが、あなたのビジネスに古物商許可が必要か否かを判断する、すべての基準になります。

【ケース別】あなたの輸入ビジネスに古物商許可は必要?

それでは、具体的なビジネスモデルごとに、許可の要否を見ていきましょう。

ケース①:「海外のメーカーや正規卸から“新品”を仕入れて販売する」場合

結論:許可は【不要】です。

これは最もシンプルな輸入ビジネスの形ですね。なぜなら、扱っている商品が「新品」であり、古物営業法の対象である「古物」ではないからです。アパレルブランドの正規輸入代理店や、海外の工場で作ったオリジナル商品を輸入して販売するビジネスなどが、これに該当します。

ケース②:「海外の個人やお店から“中古品”を、あなたが“直接”買い付けて販売する」場合

結論:原則として許可は【不要】です。

あなたが自分で海外のフリーマーケットやリサイクルショップに足を運び、中古品を買い付けて日本に持ち帰り、販売するケースです。これは、買い付けという行為が「海外」で行われているため、日本の古物営業法の規制が及ばない、というのが基本的な考え方です。 ただし、話はここで終わりません。多くの方が陥る「落とし穴」が、次にあります。

ケース③:【要注意!】許可が【必要】になる“グレーゾーン”と“アウト”なケース

海外から仕入れて国内で販売」というビジネスモデルでも、以下の場合は古物商許可が必要になります。

  • アウト①:国内の業者を経由して「輸入中古品」を仕入れる あなたが直接海外に行くのではなく、日本の輸入代行業者や、国内の卸業者から「すでに輸入された中古品」を仕入れる場合。これは、取引の場所が明確に「国内」であるため、古物の「買取」にあたります。したがって、許可が絶対に必要です。
  • グレー②:海外の業者と継続的な取引契約を結び、商品を日本国内で受け取る 海外の業者を、まるで国内の仕入れ先のように使い、継続的に中古品を輸入ビジネスとして仕入れる場合。これは、実質的に国内で営業活動を行っていると見なされ、許可が必要となる可能性が非常に高いです。警察署に事前相談をすべきケースと言えるでしょう。
  • アウト②:輸入した中古品と、国内で仕入れた中古品を混ぜて販売する 「海外仕入れがメインだから」という言い訳は通用しません。あなたのビジネスの中で、たとえ一点でも国内で仕入れた中古品(例えば、せどりやお客様からの買取品)を扱うのであれば、その事業全体として古物商の許可が必要です。

判断に迷った時、あなたが確認すべきこと

このように輸入ビジネスと古物営業法の関係は、少し複雑です。もしご自身のビジネスがどのケースに当てはまるか迷ったら、以下の3つの視点で整理してみてください。

  1. 取引の「場所」はどこか? → 契約や支払いが、日本の国内か、海外か。
  2. 商品の「状態」は何か? → 完全な「新品」か、それとも「中古品(一度でも人の手に渡ったもの)」か。
  3. 取引の「相手」は誰か? → メーカー本人か、それとも中古品を扱う業者や個人か。

この3つを整理し、それでも判断に迷う場合は、申請準備を始める前に専門家や警察署に相談するのが一番マジメで確実な方法です。

▶ご参考:大阪府警察-古物商Q&A

▶ご参考:e-Gov法令検索 – 古物営業法

▶ご参考:神奈川県警察 – 古物営業

まとめ – グローバルなビジネスも、足元のルールから

海外から仕入れて国内で販売する。 そんなグローバルで夢のあるビジネスも、その足元には「古物営業法」という日本の法律が、どっしりと存在しています。

許可が必要なビジネスモデルにもかかわらず、手続きを怠ってしまうと、せっかく見つけたビジネスチャンスを失うだけでなく、無許可営業として重い罰則を受けるリスクさえあります。

あなたの輸入ビジネスが、これからも安全に、そして大きく成長していくために、まずは足元のルールをしっかりと確認することから始めましょう。


「私のビジネスモデルは、具体的に許可が必要?」 「海外の業者との契約書、この内容で大丈夫?」

など、輸入ビジネスと古物営業法の関係で具体的なご不安や判断に迷う点がございましたら、お気軽にご相談ください。あなたのグローバルな挑戦を、国内の法務面から力強くサポートします。

古物商許可申請についてはこちらもご覧ください。


Warning

この記事は、2025年6月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。古物商の許可申請にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。

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    -行政書士登録番号:24091288
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