【民泊開業、成功の鍵は最初の「物件選び」にアリ!】失敗しないための3つの鉄則


皆さん、こんにちは!「遊べる本屋」の元店長で、今は行政書士をしている栗原です。

「民泊、始めたいんだけど、何から手をつけていいか分からない…」「副業で民泊を考えているけど、なんか難しそう…」そう考えている方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか?

民泊ビジネス、特に最近のインバウンド需要の高まりを考えると、非常に魅力的な投資ですよね。しかし、成功の鍵は、実は最初の「物件選び」にかかっていると言っても過言ではありません。この最初のステップでつまずいてしまうと、その後の運営や集客、さらには許可申請にも大きく影響してしまいます。

私はこれまで民泊開業をサポートしてきましたが、「もっと早く相談してくれれば…」と思うようなケースも少なくありません。そこで今回は、後悔しないための物件選びの鉄則と、具体的な探し方を、元「遊べる本屋」店長の経験と行政書士としての専門知識をフル活用して、わかりやすくお伝えしたいと思います!


鉄則1:民泊新法だけじゃない!物件選びは「法律の壁」を乗り越えるべし

「民泊」と聞いて、まず思い浮かぶのが「住宅宿泊事業法」、通称「民泊新法」ですよね。もちろん、この法律は非常に重要です。しかし、物件を選ぶ際に注意すべき法律は、これだけではありません。

知っておくべき3つの法律と条令

  1. 住宅宿泊事業法(民泊新法)
    • 年間180日以内の営業日数制限があります。
    • 住宅としての要件を満たす物件である必要があります。
    • 届出制で、都道府県知事等への届出が必要です。
    • 詳細は国土交通省のサイトで確認できます。 住宅宿泊事業法の概要|観光庁
  2. 旅館業法
    • 旅館業の許可を取得すれば、日数の制限なく民泊営業が可能です。
    • 設備基準や衛生基準が住宅宿泊事業法よりも厳しく、消防法なども適用されます。
    • 「簡易宿所」としての許可を目指すケースが多いです。
    • 厚生労働省のサイトで詳細を確認できます。 旅館業法の概要|厚生労働省
  3. 都市計画法・建築基準法
    • 物件の所在地が「市街化調整区域」である場合、原則として建築が制限されています。既存の建物であっても、用途変更が難しい場合があります。
    • 「用途地域」によっては、そもそも旅館業や特定の宿泊施設の設置ができない地域もあります。例えば、住居系の地域では、大規模な宿泊施設の建設は制限されることが多いです。
    • 建築基準法では、避難経路の確保や耐震基準など、安全に関する規定があります。民泊に転用する際に、改修が必要になることもあります。

これらに加えて、特に重要なのが、各自治体の条例です。

自治体の条例が「真の壁」になることも!

民泊新法は全国一律の法律ですが、各自治体は独自の条例を定めています。これが物件選びにおいて、非常に大きなポイントになります。

例えば、東京都新宿区では、住宅宿泊事業法の届出住宅の営業について、以下の制限があります。

住居専用地域では平日(月曜正午から金曜正午まで)の営業ができません。

これは一例ですが、このように、自治体によっては、特定の日数制限や、学校・病院からの距離制限などを設けている場合があります。せっかく良い物件を見つけても、自治体の条例で営業が制限されてしまっては元も子もありません。

物件探しを始める前に、必ずその物件がある市区町村のウェブサイトで、民泊に関する条例を確認してください。 「〇〇市 民泊 条例」で検索すれば、たいてい見つかります。もし見つけられない、または内容が複雑で理解が難しい場合は、迷わず専門家である行政書士にご相談ください。これは民泊の始め方において非常に重要なステップです。


鉄則2:ターゲットを絞って「集客力」のある物件を見つけるべし!

「遊べる本屋」の店長時代、私はお客様が「何を目的に」「何を求めて」来店するのかを常に考えていました。民泊も全く同じです。誰に泊まってほしいのか、どんな体験を提供したいのか、そのターゲットに響く物件を選ぶことが、後の集客に大きく影響します。

あなたの民泊は誰を呼ぶ?

ファミリー層向け?

  • 広さ、子供が遊べるスペース、洗濯機やキッチン設備は必須。
  • 近くに公園や観光施設があるか。

ビジネスパーソン向け?

  • 高速Wi-Fi、作業スペース、駅からのアクセス、コンビニや飲食店が近いか。

インバウンド向け?

  • 日本の文化を感じられる内装、主要観光地へのアクセス、多言語対応の案内。
  • 最近は体験型消費が人気なので、周辺で日本文化体験ができる場所があるかなども重要です。

立地とアクセスの重要性

  • 駅からの距離: 観光客にとって、公共交通機関からのアクセスは非常に重要です。駅から徒歩圏内が理想ですが、バスなどの交通手段が充実していれば許容範囲の場合もあります。
  • 周辺環境: スーパー、コンビニ、飲食店、薬局など、滞在中に必要な施設が近くにあるか確認しましょう。
  • 観光地へのアクセス: 主要な観光地へのアクセスが良い場所は、集客に有利です。

いくら内装がおしゃれでも、立地が悪ければなかなか集客は難しいのが現実です。物件を探す際は、必ず実際に周辺を歩いて、ターゲット層の目線で「ここに泊まったら便利かな?楽しいかな?」と考えてみてください。


鉄則3:「管理・運営」の視点で「手間なく回せる」物件を選ぶべし!

民泊は、物件を購入したら終わりではありません。日々の管理や運営が非常に重要になってきます。特に副業として考えている方は、いかに手間をかけずに効率的に回せるかが成功の分かれ道になります。

物件の「管理しやすさ」チェックポイント

清掃のしやすさ:

  • 間取りが複雑でないか、水回り(バス・トイレ・キッチン)が清掃しやすいか。
  • 清掃業者が入りやすい立地か(駐車場があるか、搬入経路はスムーズか)。

騒音問題:

  • 近隣トラブルの元になりやすいのが騒音です。物件の防音性はどうか、隣接する住戸との距離はどうかなども確認しましょう。
  • マンションの一室を借りる場合、管理規約で民泊が禁止されていないか、必ず確認してください。これは本当に「難しい」問題になりがちです。

設備のメンテナンス:

  • 築年数が古い物件の場合、水回りや空調設備の故障リスクが高まります。修理費用も考慮に入れる必要があります。
  • 鍵の受け渡し方法(スマートロック導入の可否など)も、日々の運営コストや手間を左右します。

投資としての視点も忘れずに

民泊は投資です。物件価格だけでなく、以下の費用も考慮に入れて、採算が取れるかシミュレーションしましょう。

初期費用: 物件購入費用、改修費用、家具家電購入費用、申請費用など。

ランニングコスト: 光熱費、通信費、清掃費、消耗品費、保険料、税金(固定資産税、事業税など)、管理委託費など。

「この物件で、どれくらいの売上が見込めて、どれくらいの費用がかかるのか?」具体的に数字を出すことで、冷静な判断ができます。もし数字を出すのが苦手であれば、私のような専門家にご相談ください。一緒に最適な投資計画を立てましょう。


【実践編】民泊物件、どこで探す?具体的な探し方!

さあ、ここからが実践です。法律やターゲット、管理・運営の視点を踏まえて、いよいよ具体的な物件探しに入りましょう。物件のタイプや地域によって、アプローチ方法は大きく変わってきます。

1.地方の古民家・空き家を探すなら「空き家バンク」をフル活用!

近年、地方の空き家を活用した民泊は、地域の魅力を活かしたユニークな宿泊体験として、特にインバウンド層に人気が高まっています。

自治体の空き家バンク: 多くの地方自治体が、空き家と利用希望者をマッチングさせるための「空き家バンク」を運営しています。「〇〇市 空き家バンク」と検索すると、各自治体のサイトが見つかります。掘り出し物が見つかる可能性もありますし、自治体が積極的に移住や定住を促進している地域では、補助金や助成金が利用できる場合もあります。

古民家再生・活用を専門とする不動産会社: 通常の不動産会社では扱わないような古民家専門の業者も存在します。彼らは古民家特有の構造や法律(特に建築基準法の「既存不適格」など)にも詳しいため、専門的なアドバイスを受けられます。

インターネットの不動産情報サイト(地方向け): 大手不動産サイトでも地方の物件は扱っていますが、より地域密着型のサイトや、古民家専門のサイトもチェックしてみましょう。

2.都市部のマンション・戸建てを探すなら「不動産屋」との二人三脚!

主要都市や観光地での民泊を検討しているなら、不動産会社との連携が不可欠です。

「民泊可」の物件にこだわらない! 正直な話、「民泊可」と明記されている物件は非常に少ないです。また、記載があっても、それがどの法律(民泊新法か旅館業法か)での「可」なのかが曖昧な場合もあります。まずは「用途変更」や「事業用」として相談してみましょう。

地元の不動産会社が強い味方! 都市部の物件探しでは、大手不動産チェーンだけでなく、その地域に根差した中小の不動産会社にも相談してみましょう。彼らは地域の物件情報だけでなく、条例や周辺環境、さらには大家さんの意向なども把握している場合があります。「民泊を考えているのですが、このエリアで事業用として使えそうな物件はありますか?」と具体的に相談してみるのが良いでしょう。

物件探しのポイントをしっかり伝える! 不動産会社に相談する際は、以下の点を明確に伝えましょう。

希望する法律: 住宅宿泊事業法(民泊新法)か、旅館業法(簡易宿所など)か。

ターゲット層: インバウンドか、国内旅行客か、ビジネスパーソンか。

予算: 物件購入費用、改修費用の上限。

重視する条件: 駅からの距離、間取り、周辺環境など。

「民泊に転用したい」という意図を明確に伝えることの重要性: 物件によっては、契約書に「転貸禁止」や「居住目的以外での利用禁止」の条項が入っている場合があります。これを知らずに契約してしまうと、後々大きなトラブルに発展する可能性があります。必ず「民泊事業(宿泊事業)として利用したい」という意図を明確に伝え、不動産会社を通じて大家さんや管理会社に確認を取りましょう。事前に承諾を得るか、民泊利用が可能な物件を探してもらうことが、失敗しない民泊開業の第一歩です。

3.インターネットの不動産情報サイトも活用しつつ、最終確認は必須!

大手不動産情報サイトは、物件情報の宝庫です。

キーワード検索: 「民泊」「簡易宿所」「事業用物件」「ゲストハウス」などで検索してみるのも一つの手です。

用途地域の確認: 気になる物件が見つかったら、その住所を調べて、役所のウェブサイトや窓口で「用途地域」を確認しましょう。これが民泊の可否を分ける重要な情報です。

ただし、インターネット上の情報だけを鵜呑みにせず、必ず不動産会社や自治体に問い合わせて、最新かつ正確な情報を確認することが重要です。特に法律や条例に関する部分は、専門家である行政書士に確認を依頼することをお勧めします。


まとめ:民泊開業は物件選びで9割決まる!

いかがでしたでしょうか?民泊開業の成功は、最初の「物件選び」で9割決まると言っても過言ではありません。

  1. 法律の壁を乗り越える!:民泊新法だけでなく、旅館業法、都市計画法、建築基準法、そして最も重要な自治体の条例を徹底的に確認しましょう。
  2. 集客力のある物件を見つける!:あなたのターゲット層に響く、立地とアクセス、周辺環境を考慮した物件を選びましょう。
  3. 手間なく回せる物件を選ぶ!:管理・運営の視点から、清掃のしやすさや近隣トラブルのリスク、設備のメンテナンスコストを考慮しましょう。
  4. 具体的な探し方を実践!:地方なら空き家バンク、都市部なら不動産会社との連携を密に行い、物件の利用目的を明確に伝えましょう。

これら4つの鉄則をしっかり押さえることで、後悔しない民泊開業への第一歩を踏み出せるはずです。

関連情報とご相談について

民泊の許可申請は、旅館業法に基づく許可申請、住宅宿泊事業法に基づく届出、特区民泊の認定申請など、多岐にわたります。それぞれの申請には複雑な要件があり、必要書類も異なります。

特区民泊についてもっと知りたい方はこちら: 国家戦略特別区域法に基づく特定認定(特区民泊)|観光庁

民泊に関するQ&Aはこちらも参考にどうぞ: 住宅宿泊事業(民泊)に関するQ&A|国土交通省

「具体的にこの物件で民泊を始めたいんだけど、法的な問題はないかな?」「自分のケースだと、どんな許可申請が必要なの?」など、個別のご相談や最新情報については、お気軽にお問い合わせください。元「遊べる本屋」店長の行政書士・栗原が、あなたの民泊開業を全力でサポートさせていただきます!

こちらもご確認ください。→民泊事業申請について


【ご注意】 この記事は、2025年5月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。民泊の開業・運営にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。

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    くりはら行政書士事務所

    代表:
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    -行政書士登録番号:24091288
    ‐神奈川県行政書士会 緑支部所属
    ‐申請取次行政書士
    ‐著作権相談員

    営業時間:
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    神奈川県横浜市緑区白山

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