こんにちは!元「遊べる本屋」の店長で、今はあなたの街の法律家、行政書士の栗原です。本屋で「どの棚に置くか」で本の運命が変わるように、民泊ビジネスも「どの街で」「どのルールで」始めるかが超重要!特に首都圏は選択肢が多いだけに、悩みますよね。
「民泊を始めたいけど、横浜と東京23区、結局どこが狙い目なの?」 「民泊新法だけじゃなく、旅館業(簡易宿所)も考えたいけど、エリアによる違いは?」
そんなあなたの疑問に、今回はドーンとお答えします!横浜市と東京23区を舞台に、民泊の主要な2つのルール、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」と「旅館業法(簡易宿所)」の両面から、エリアごとの規制、開業の難しい度を徹底比較。それぞれの特徴を理解し、あなたに最適な「場所」と「法律」を見つけるお手伝いをします。最後に、栗原独断の「開業しやすさ総合ランキング」も発表!長丁場になりますが、情報満載でお届けします!
2つの道を知る:民泊を実現する法律の基礎知識
まず、民泊的な宿泊ビジネスを始めるための主な法的ルートを整理しましょう。それぞれ特徴が全く異なります。
【ルート1】住宅宿泊事業法(民泊新法):”気軽にスタート” 型?
- 手続き: 都道府県知事等への「届出」でOK(申請して許可を得るよりは簡易)。
- 運営日数: 年間180日が上限。週末だけの副業などに向いている。
- 建物: 基本的に「住宅」が対象。
- ポイント: 法律自体はシンプルだが、自治体が条例で厳しい「上乗せ規制」(営業日数の短縮、エリア制限など)を課すことが可能。特に住居専用地域での規制が厳しい傾向。
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- ★公式情報: より詳しい情報や最新の公式情報は、観光庁が運営する「民泊制度ポータルサイト」で確認できます。
- 【リンク】民泊制度ポータルサイト | 観光庁
【ルート2】旅館業法(簡易宿所):”本格運営” 型?
- 手続き: 都道府県知事等(保健所を設置する市や特別区では市長・区長)の「許可」が必要。申請書類も多く、施設の検査等もあり、ハードルは高い。
- 運営日数: 法律上の年間日数制限はなし(365日運営可能)。
- 建物: 消防法や建築基準法など、厳しい設備基準(例:玄関帳場(フロント)の設置緩和、客室の延床面積、トイレの数、換気・採光など)をクリアする必要がある。大規模なリフォーム(投資)が必要な場合も。
- ポイント: 許可取得は大変だが、一度取得すれば日数制限なく本格的な宿泊事業が可能。民泊新法では営業が難しい住居専用地域でも、要件を満たせば開業できる可能性がある(ただし自治体の判断や条例による)。
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どっちの道を選ぶ?
物件の状況(広さ、設備、建物の適法性)、開業したいエリアの条例、ビジネスの目標(副業か本業か、収益目標)、投資可能額などを総合的に考えて、どちらの法律で進めるか(あるいは両方の可能性を探るか)を判断する必要があります。
いざ比較!横浜 vs 東京23区 エリア別分析 (民泊新法 & 旅館業法/簡易宿所)
ここからは、横浜市と東京23区をエリアごとに分析します。「民泊新法」と「旅館業法(簡易宿所)」の両面から、規制のポイントと開業の「総合難易度」を見ていきましょう。難易度は5段階評価(★1が易しく、★5が難しい)です。
【難易度評価の目安】
★☆☆☆☆: 両法とも規制が比較的緩やか、またはどちらかの道が明確に開けている。
★★★☆☆: 標準的な規制。どちらの法でも可能だが、相応の準備・確認が必要。
★★★★★: 両法とも厳しい規制や複雑な手続きがあり、開業のハードルが非常に高い。
(注)以下の情報は2025年4月24日時点の調査に基づく一般的な傾向と具体例です。条例や運用は変更される可能性があるため、必ず最新の情報を管轄の行政機関(保健所、建築指導課、消防署など)にご確認ください。
■ 横浜市
- 民泊新法: 住居専用地域で平日(月~金昼)不可。事前周知(努力義務)。
- 旅館業法(簡易宿所): 国の基準に加え、市独自の詳細な指導基準あり。フロント設置基準緩和等はあるが、消防・建築基準適合は必須。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★☆☆ (3/5)
- 新法はエリアを選ぶが、簡易宿所は物件次第で十分可能。バランス型。
- 【参考】横浜市 住宅宿泊事業(民泊)について
- 【参考】横浜市 旅館業について
■ 東京23区
1. 千代田区
- 新法: 住居専用地域で平日不可。事前周知。
- 旅館業法: ビジネスホテル等が多い。簡易宿所の絶対数は少ないか。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★☆☆ (3/5) – 住居専用地域少ない。旅館業法のハードルは標準。
2. 中央区
- 新法: 住居専用地域で平日不可。事前周知。
- 旅館業法: ホテルが多い。簡易宿所の新設は物件要件次第。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★☆☆ (3/5) – 千代田区同様。商業地なら旅館業法が有力か。
3. 港区
- 新法: 住居専用地域平日不可。学校周辺制限。詳細な事前周知。
- 旅館業法: 厳しいが、ホテル営業は盛ん。簡易宿所も要件満たせば可能だが、近隣配慮等がより求められる可能性。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の規制に加え、旅館業法でも丁寧な手続き・配慮が求められる。
4. 新宿区
- 新法: 住居専用地域平日不可。詳細な事前周知(説明会等)。
- 旅館業法: ホテル・簡易宿所が多い激戦区。用途地域による制限は旅館業法の方が緩いが、消防・建築基準は当然厳しい。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法のハードル高め。旅館業法も競争・基準共に厳しい。
5. 文京区
- 新法: 区内全域で平日不可(例外除く)。厳しい事前周知・相談。
- 旅館業法: 新規許可は区の厳しい指導基準あり。住環境保護の観点からハードル高い。
- 総合難易度: ★★★★★ (5/5) – 両法ともに非常に厳しい。区の姿勢として宿泊施設新設に慎重。
6. 台東区
- 新法: 住居専用地域平日不可。観光地として運営しやすいエリア多い。
- 旅館業法: 簡易宿所の実績多数。比較的取り組みやすいが、物件の適法化は必須。
- 総合難易度: ★★☆☆☆ (2/5) – 新法も旅館業法も、エリア特性から比較的開業しやすい環境(ただし個々の物件調査は必須)。
7. 墨田区
- 新法: 住居専用地域平日不可。家主不在型は注意。
- 旅館業法: スカイツリー周辺等で需要あり。区の指導基準に注意。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限がネック。旅館業法は物件次第。
8. 江東区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 臨海部等でホテル開発。簡易宿所はエリアによる。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限あり。旅館業法は標準的だが、エリア特性考慮必要。
9. 品川区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: ビジネス需要高い。簡易宿所の新設は物件・エリア次第。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限あり。旅館業法は標準的。
10. 目黒区
- 新法: 住居専用地域平日不可。厳しい事前周知・相談。
- 旅館業法: 住環境重視のため、新規許可のハードルは高い。近隣への配慮が強く求められる。
- 総合難易度: ★★★★★ (5/5) – 文京区同様、両法ともに厳しい。
11. 大田区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 特区民泊のイメージ強いが、通常の旅館業法許可も可能。空港近くで需要あり。手続きは標準的~やや丁寧さが求められる。
- 総合難易度: ★★★☆☆ (3/5) – 特区民泊以外に、旅館業法の選択肢も現実的。新法の制限を回避できる可能性。
12. 世田谷区
- 新法: 住居専用地域平日不可。近隣住民との合意形成が実質的に求められる。
- 旅館業法: 新規許可のハードル極めて高い。住民説明・合意形成が非常に重要視される。
- 総合難易度: ★★★★★ (5/5) – 両法ともに最高難度。住民合意が最大の壁。
13. 渋谷区
- 新法: 住居専用地域では特定期間以外不可。超厳格。
- 旅館業法: 用途地域によっては可能だが、物件確保と設備投資、厳しい審査基準あり。
- 総合難易度: ★★★★★ (5/5) – 新法は絶望的。旅館業法も超ハイレベルな物件・計画・交渉が必須。
14. 中野区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 物件次第で可能。区の指導基準に注意。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限あり。旅館業法は標準的。
15. 杉並区
- 新法: 住居専用地域平日不可。厳しい事前周知・相談。
- 旅館業法: 住環境重視で、新規許可のハードル高い。住民説明等が重要。
- 総合難易度: ★★★★★ (5/5) – 世田谷区などに近い厳しさ。
16. 豊島区
- 新法: 住居専用地域平日不可。池袋周辺は商業地多い。
- 旅館業法: 池袋を中心に簡易宿所も増加傾向。区も比較的積極的か。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★☆☆☆ (2/5) – 新法も旅館業法も比較的取り組みやすい環境。
17. 北区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 物件次第。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限あり。旅館業法は標準的。
18. 荒川区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 比較的簡易宿所が見られるエリア。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★☆☆ (3/5) – 新法の制限はあるが、旅館業法の道も現実的か。
19. 板橋区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 物件次第。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限あり。旅館業法は標準的。
20. 練馬区
- 新法: 住居専用地域平日不可。厳しい事前周知・相談。
- 旅館業法: 住環境重視で、新規許可のハードル高い。
- 総合難易度: ★★★★★ (5/5) – 杉並区などと同様の厳しさ。
21. 足立区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 物件次第。近年簡易宿所も見られるように。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限あり。旅館業法は標準的。
22. 葛飾区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 物件次第。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限あり。旅館業法は標準的。
23. 江戸川区
- 新法: 住居専用地域平日不可。
- 旅館業法: 物件次第。手続きは標準的。
- 総合難易度: ★★★★☆ (4/5) – 新法の平日制限あり。旅館業法は標準的。
栗原選定!総合「開業しやすい」エリア ランキング (民泊新法+旅館業法)
さあ、お待たせしました!上記分析を踏まえ、民泊新法と旅館業法(簡易宿所)の両方を考慮した、総合的な開業のしやすさ(規制・手続き面)ランキングです!
【開業しやすい TOP 3】
1.🥇 台東区 (総合難易度: ★★☆☆☆)
理由: 観光地としてのポテンシャルが高く、インバウンド人気も根強い。民泊新法は住居専用地域以外なら比較的自由度があり、旅館業法(簡易宿所)の実績も豊富。物件の適法化は必要だが、両方の道で比較的開業を目指しやすい。
2.🥈 豊島区 (総合難易度: ★★☆☆☆)
理由: 池袋という巨大ターミナルを抱え、商業地が多く民泊新法のエリア制限の影響を受けにくい物件を探しやすい。旅館業法(簡易宿所)に対しても区が比較的積極的と見られ、選択肢が広い。
3.🥉 大田区 (総合難易度: ★★★☆☆)
理由: 特区民泊(今回は比較対象外だが選択肢の一つ)に加え、旅館業法(簡易宿所)も空港近くの需要を背景に現実的な選択肢。民泊新法は平日制限があるものの、旅館業法でカバーできる可能性があるため、総合的に見て選択肢がある。
【開業が難しい TOP 3】
1.🥇 渋谷区 (総合難易度: ★★★★★)
理由: 民泊新法は住居専用地域での営業がほぼ不可能。旅館業法も超一等地であるが故の物件確保の難しさ、高い要求水準、厳しい審査を考えると、両法ともに開業への道は極めて険しい。
2.🥈 世田谷区 (総合難易度: ★★★★★)
理由: 民泊新法・旅館業法ともに、近隣住民との合意形成が事実上、開業の最大のハードルとなっている。手続きの複雑さ、心理的な負担が大きい。
3.🥉 文京区 (総合難易度: ★★★★★)
理由: 区全体として住環境保護を最優先する姿勢が明確。民泊新法は全域で平日不可(例外除く)、旅館業法も新規許可に対するハードルが非常に高く設定されており、宿泊事業開業の選択肢が極端に狭い。
(次点候補: 目黒区、杉並区、練馬区なども同程度の難易度ですが、特に厳しい3区をピックアップしました)
※重要※ このランキングは、あくまで条例上の規制や手続きの複雑さに基づいたものです。実際の民泊ビジネスの成功は、立地(交通の便、周辺環境)、物件の魅力、集客戦略、運営の質、投資対効果など、多くの要因が絡み合って決まります。規制が緩い=儲かる、規制が厳しい=儲からない、と単純に判断できるものではありません。
結局、何が大事? ルールと現実のビジネス判断
ここまで見てきたように、民泊の始め方は、場所と法律の選択によって、その道のりが全く変わります。
- ビジネスモデルと合致するか?: 365日運営したいのに、民泊新法の180日ルールや平日制限のあるエリアで良いのか? 初期投資を抑えたいのに、大規模改修必須の旅館業法物件しかないエリアは適切か?
- 物件のポテンシャル: どんなに規制が緩くても、アクセスが悪かったり、魅力のない物件では集客できません。逆に規制が厳しくても、最高の立地と設備があれば、難しい手続きを乗り越える価値があるかもしれません。
- あなたの覚悟: 旅館業法の許可を取るなら、相応の時間・費用・労力がかかります。民泊新法でも、近隣対応や管理は必須。どのレベルまでコミットできるか?
規制(法律・条例)はあくまでスタートライン。その上で、インバウンド需要、競合状況、自身の運営能力、投資計画などを考慮し、総合的に判断することが成功への道です。
まとめ:二つの地図を手に、最適なルートを探せ!
横浜市 vs 東京23区、民泊新法 vs 旅館業法(簡易宿所)。二つの軸でエリアを比較検討する、長い旅にお付き合いいただきありがとうございました!
同じ首都圏でも、驚くほど多様なルールが存在し、それぞれにメリット・デメリットがあることをご理解いただけたかと思います。まるで、冒険に出る前に、複数の地図(法律)を広げて、どの道(ルート)が自分の目的地(ビジネス目標)に合っているか、どんな装備(準備・投資)が必要かを確認するような作業ですね。
重要なのは、ネットの情報だけを鵜呑みにせず、必ず開業を検討している市区町村の担当窓口(保健所、建築指導課、都市計画課、消防署など)に相談し、最新かつ正確な情報を得ることです。
【さいごに】
住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出、旅館業法(簡易宿所)の許可 申請、関連する消防法や建築基準法、そして各自治体の複雑な条例…。民泊ビジネスの開業準備は、難しい専門用語や手続きが多く、一人で全てを把握するのは大変です。
「自分の計画なら、どっちの法律で進めるべき?」 「この物件で開業できる可能性はある?」 「具体的な申請や管理について相談したい」
そうした具体的な疑問やお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。最新情報の確認から書類作成、行政との折衝まで、あなたの民泊チャレンジを、街の法律家として、そして元本屋店長として培った情報整理能力を活かして、全力でバックアップさせていただきます!
こちらもご確認ください。→民泊事業申請について
【ご注意】 この記事は、2025年4月24日時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。民泊の開業・運営にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。