【行政書士が試算】民泊開業の初期費用、いくらかかる?消防設備から申請費用までリアルな内訳

どうもこんにちは! 横浜の片隅で、日々書類と格闘しております、行政書士の栗原です。

前職が「遊べる本屋」の店長だったという話をすると、「えっ、なんでまた法律の世界に?」とよく聞かれます。まあ、本屋で面白い「モノ」を発掘するのも、法律の中から面白い「道筋」を発掘するのも、根っこは同じ「探求心」なのかもしれませんね(こじつけ?笑)。

さて、今日も今日とて皆さんの「面白い企み」=ビジネスの始め方を応援するべく、キーボードを叩いております。今回のテーマは、ズバリ「民泊開業の初期費用」!

インバウンド需要も回復し、「よし、うちも民泊で開業だ!」と夢が膨らんでいる方も多いのではないでしょうか。物件を探したり、どんなインテリアにしようか考えたり、ワクワクしますよね。

でも、ちょっと待ってください! 物件取得費用や大きなリフォーム費用は意識していても、意外と見落としがちな「それ以外の費用」って、結構あるんです。まるで、欲しかった限定版フィギュアの値段だけ見てレジに持っていったら、専用ケースやらオプションパーツやらで予想外の出費になった…みたいな(経験談)。

「申請って、お金かかるの?」「消防設備って、そんなに高いの?」なんて声もよく聞きます。開業準備を進める中で、「えっ、こんな費用も!?」と慌てないために、今回は「物件取得・大規模リフォーム以外」にかかる、リアルな初期費用の内訳について、行政書士の視点から、ざっくりと試算してみましょう。

もちろん、物件の状況や規模、選択する民泊のタイプ(住宅宿泊事業か旅館業か)によって金額は大きく変動します。あくまで「目安」として、あなたの予算計画の参考にしてくださいね。これを知っておくだけでも、資金計画がグッと立てやすくなるはずです。正直、費用の見積もりって、結構難しい部分もあるんですが、一緒に見ていきましょう!

これだけは押さえたい!民泊開業の「見えにくい」初期費用リスト

大きく分けて、以下のカテゴリーで費用が発生すると考えられます。

1.安全の要!消防関連費用(これが意外とかかる!)

ゲストと自身の安全を守る、そして法律(消防法)を守る上で、絶対に避けて通れないのが消防設備の設置です。これが、物件によってはかなりの費用になることがあります。

  • 自動火災報知設備: 建物の規模や構造によっては設置が義務付けられます。センサーや受信機、配線工事などを含めると、数十万円~百万円以上かかるケースも。
  • 誘導灯・誘導標識: 避難経路を示すライトや標識。これも設置義務があります。数万円~十数万円程度が目安ですが、設置個数によります。
  • 消火器: これは比較的身近ですが、業務用(設置届が必要な場合あり)となると少し違います。数千円~/本。
  • その他: スプリンクラー設備(大規模な場合)、非常警報設備など、物件の条件によってはさらに費用がかかることも。
  • 消防署への届出・検査関連費用: 設置工事だけでなく、消防署への届出(工事整備対象設備等着工届出書、消防用設備等設置届出書など)や、それに伴う図面作成を行政書士や専門業者に依頼する場合、別途費用がかかります。

【概算目安】 小規模な戸建てやマンションの一室(住宅宿泊事業法レベル)でも、最低10万円~ は見ておきたいところ。建物全体で旅館業(簡易宿所)を行うような場合は、50万円~数百万円かかることも珍しくありません。既存設備の有無や建物の構造に大きく左右されるため、ここは専門家(消防設備士や行政書士)に早期に相談し、見積もりを取るのが最も確実です! まさに「安全はお金で買う」部分と言えますね。

消防庁作成の民泊を始めるにあたってのリーフレットもこちらからご参照ください。

2.お役所手続き!許認可申請関連費用

民泊を合法的に運営するためには、行政への申請や届出が必須です。これにも手数料がかかります。

  • 住宅宿泊事業(民泊新法)の届出: 基本的に国への手数料はかかりませんが、自治体によっては条例で手数料を定めている場合があります。また、届出に必要な添付書類(登記事項証明書、管理規約の写し、図面など)の取得費用が実費でかかります(数千円程度)。
  • 旅館業(簡易宿所など)の許可申請: こちらは許可申請時に手数料が必要です。金額は自治体によって異なりますが、横浜市の場合は、例えば33,000円(2025年4月現在・要確認)です。
  • 保健所の検査手数料: 旅館業の場合、保健所の立入検査があり、その手数料がかかる場合があります(自治体による)。
  • 各種証明書の取得費用: 住民票、身分証明書、建物の検査済証の写し、消防法令適合通知書など、申請に必要な書類の取得に実費がかかります(数百円~数千円/通)。

【概算目安】 住宅宿泊事業なら数千円~、旅館業許可なら数万円~ が手数料等の実費目安です。ただし、書類収集の手間や時間は別途かかります。

3.専門家にお任せ!代行・相談費用

「申請手続きが難しい…」「自分でやる時間がない!」という場合に頼りになるのが専門家。もちろん、依頼すれば費用がかかります。

  • 行政書士への報酬:
    • 民泊の申請・届出代行: 業務範囲(書類作成のみか、役所との折衝・提出代行までか、消防署協議も含むか等)や民泊のタイプ(住宅宿泊事業/旅館業)、物件の状況により大きく変動します。一般的には、住宅宿泊事業で15万円~、旅館業許可で25万円~ が相場感でしょうか(あくまで目安!当事務所の料金は別途お問い合わせください)。
    • 相談料: 30分~1時間あたり5,000円~10,000円程度が相場ですが、初回相談無料の事務所も多いです(当事務所もそうです!)。
  • 設計士・建築士への報酬: 図面がない場合や、大規模な改修が必要な場合に、図面作成や建築確認申請の代行を依頼する場合に費用が発生します。
  • 消防設備士への報酬: 消防設備の設計・工事・点検を依頼する場合の費用です。

【概算目安】 行政書士への申請代行費用として、15万円~40万円程度を見込んでおくと、ある程度の目安になるかもしれません。これは「時間を買う」「安心を買う」費用とも言えますね。

4.ゲストを迎える準備!運営準備費用

物件が決まり、申請の目処が立ったら、ゲストが快適に過ごせる空間を作るための費用です。家具・家電以外にも、意外とこまごまとしたものが必要になります。

  • 家具・家電: ベッド、ソファ、テーブル、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、エアコンなど。新品で揃えるか、中古やリースを利用するかで大きく変わります。
  • 寝具類: 布団・ベッドマット、シーツ、枕、タオルなど。ゲスト人数分+予備が必要です。品質も重要。
  • キッチン用品: 食器、カトラリー、調理器具、ケトル、炊飯器など。
  • 消耗品: トイレットペーパー、ティッシュ、シャンプー類、洗剤、ゴミ袋など。初期在庫としてある程度まとめて購入します。
  • インターネット環境: Wi-Fiルーター設置、回線契約初期費用、月額利用料。インバウンド客には必須ですね。
  • 鍵の受け渡しシステム: キーボックス、スマートロックなど。初期費用+月額費用がかかる場合も。
  • 標識の作成・設置: 住宅宿泊事業法や旅館業法で定められた標識の作成・設置費用。数千円~。
  • ハウスルールの作成・翻訳: 多言語で作成する場合、翻訳費用がかかることも。
  • その他: 清掃用具、スリッパ、アイロン、ドライヤー、簡単な応急処置セットなど。

【概算目安】 既存のものを活用できるか、どのレベルの設備を揃えるかで全く異なりますが、最低でも20万円~、こだわり始めれば100万円以上かかることも。ここは、民泊のコンセプトやターゲット層に合わせて計画的に。

5.万が一に備える!初期運転費用など

開業直後にかかる費用や、見落としがちな費用です。

  • 損害保険料: 火災保険はもちろん、民泊運営中の事故(ゲストの怪我、施設や備品の破損、水漏れなど)に備える賠償責任保険への加入は必須です。保険の種類や補償内容によりますが、年間数万円~ は見ておきましょう。
  • 許認可取得後の諸費用: 旅館業の場合、許可取得後に登録免許税(都道府県による)がかかる場合があります。
  • 初期の広告宣伝費: OTA(Online Travel Agent: 予約サイト)への登録は無料が多いですが、より集客力を高めるための広告オプションなどを利用する場合は費用がかかります。
  • 当面の運転資金: 開業後すぐに予約で埋まるとは限りません。家賃(賃貸の場合)、光熱費、消耗品費、清掃費など、数ヶ月分の運転資金は別途確保しておくと安心です。

【概算目安】 保険料(年間)+数ヶ月分の運転資金として、数十万円単位で準備しておきたいところです。

【早わかり比較表】旅館業法(簡易宿所) vs 民泊新法(住宅宿泊事業法)初期費用

ここまで具体的な費用項目を見てきましたが、「結局、どっちの法律でやるかで、費用ってどう違うの?」という点が気になる方も多いと思います。

そこで、主な初期費用について、旅館業法(主に簡易宿所を想定)と住宅宿泊事業法(民泊新法)で、一般的にどのような違いがあるかを表にまとめてみました。

注意! これはあくまで一般的な傾向を示す「目安」です。個別の物件の状況、規模、自治体の条例、選択する設備や業者によって金額は大きく変動します。 詳細な見積もりは必ず専門家にご相談ください。

費用項目旅館業法(簡易宿所)の場合住宅宿泊事業法(民泊新法)の場合備考(共通の注意点など)
① 消防設備関連費用[高額になる傾向]
・自動火災報知設備、誘導灯等の設置義務が厳格な場合が多い (消防法)
・建物の規模や構造によっては、より高度な設備が必要
概算: 数十万円~数百万円以上
[比較的抑えられる可能性あり]
・ホスト居住型か、面積、構造等で要件緩和の場合あり
・住宅用火災警報器でOKなケースも
概算: 数万円~数十万円 (※ただし、既存設備がない場合は高額化も)
最も費用差が出やすい項目の一つ!
物件の状況(既存設備の有無、構造、面積)に大きく左右されます。
必ず消防署協議や専門家(消防設備士等)の見積もりが必要です。
② 許認可申請/届出関連費用[手続き複雑・費用高め]
・都道府県知事等の「許可」が必要
・保健所の事前相談・立入検査あり
・申請手数料が必要 (例: 横浜市33,000円)
・添付書類も多い傾向
[手続き簡便・費用安め]
・都道府県知事等への「届出」でOK
・原則、保健所検査なし
・国への手数料なし (※自治体条例で別途定める場合あり)
・添付書類は比較的少ない傾向
自治体によって手数料やローカルルールが異なります。
どちらも、登記事項証明書等の書類取得実費は別途かかります。
住宅宿泊事業法は年間営業日数180日以内の上限あり(旅館業法はなし)。
③ 専門家への報酬[高めになる傾向]
・申請手続きが複雑
・保健所、消防署等との折衝・調整が多い
・旅館業許可に精通した行政書士への報酬
概算: 25万円~
[比較的抑えられる傾向]
・届出手続きが比較的シンプル
・行政書士への報酬
概算: 15万円~
どこまで依頼するか(書類作成のみ、申請代行、コンサルティング等)で変動します。
設計士や消防設備士への費用は別途必要になる場合があります。
あくまで目安。事務所により料金体系は異なります。
④ 運営準備費用[同程度~やや高め?]
・家具、家電、寝具、備品等
・旅館業法に基づく設備基準(例: 帳場代替設備等)を満たす必要
・標識設置義務
[同程度]
・家具、家電、寝具、備品等
・住宅宿泊事業法に基づく設備要件あり
・標識設置義務
物件の広さ、コンセプト、揃える設備のグレードによります。
法律による費用の差は①②③ほど大きくない傾向。
多言語対応(ハウスルール等)の必要性はどちらも高い(特にインバウンド向け)。
⑤ 保険料[同程度]
・火災保険
・賠償責任保険 (対人・対物)
[同程度]
・火災保険
・賠償責任保険 (対人・対物)
民泊運営に対応した保険加入は必須!
補償内容や建物の評価額で保険料は変動します。
年間数万円~が目安。
⑥ その他・検査済証がない場合、再検査や用途変更等で追加費用・期間がかかる可能性・マンションの場合、管理規約で禁止されていないか確認必須 (※これは旅館業法も同様)見落としがちな費用として、清掃費、OTA手数料、水道光熱費等の「運転資金」も計画に入れておくことが重要です。

【表のまとめ】

ご覧いただくと分かる通り、特に①消防設備②許認可手続き、それに伴う③専門家報酬において、旅館業法(簡易宿所)の方が、住宅宿泊事業法(民泊新法)よりも費用が高額になり、手続きも複雑になる傾向があります。

ただし、住宅宿泊事業法には「年間180日以内」という営業日数の上限があるため、「より本格的に、日数制限なく運営したい」という場合は、初期投資は高くても旅館業法の許可取得を目指す、という選択肢も十分に考えられます。

どちらの法律で進めるのがご自身の計画にとって最適なのか、費用面だけでなく、運営スタイルや将来的な展望も踏まえて検討することが大切ですね。

予算計画こそ、民泊成功の「設計図」

どうでしょう? こうしてリストアップしてみると、「物件とリフォーム以外にも、結構かかるんだな…」と感じませんか?

これらの費用を事前に把握し、しっかりと予算計画に組み込んでおくことが、民泊開業の始め方として、めちゃくちゃ重要です。予算オーバーで申請手続きが途中で止まってしまったり、オープンできたはいいけど運転資金がショートしてしまったり…なんてことになったら、元も子もありません。

特に消防設備費用や専門家への報酬は、物件の状況や依頼内容によって大きく変動する部分です。「これくらいだろう」というどんぶり勘定ではなく、できるだけ早い段階で正確な見積もりを取ることを強くお勧めします。

なぜ専門家への相談・見積もりが有効なのか?

「自分で調べればいいじゃん」と思うかもしれません。もちろん、それも大事です。でも、

  1. 情報が複雑で分かりにくい: 消防法や建築基準法、各自治体の条例など、関連法規は多岐にわたり、専門家でないと正確な解釈が難しい場合があります。
  2. 物件ごとの個別性が高い: あなたの物件の状況(築年数、構造、既存設備など)によって、必要な手続きや費用は全く異なります。ネットの一般情報だけでは判断できません。
  3. 時間と手間がかかる: 役所や消防署への事前相談、見積もり依頼など、かなりの時間と労力が必要です。

行政書士のような専門家は、これらの複雑な情報を整理し、あなたのケースに合わせた具体的なアドバイスや、より正確な費用の見積もり(あるいは見積もり取得のサポート)を提供できます。結果的に、時間と労力を節約し、予期せぬコストの発生リスクを減らすことに繋がるのです。

観光庁が開設したサイトもご参照ください。→【民泊制度ポータルサイト】


【まとめと、ちょっとした余談】

民泊開業は、夢のあるチャレンジですが、その裏側には、こうしたリアルな費用が積み重なっています。物件探しと並行して、早い段階からこれらの「隠れたコスト」を意識し、余裕を持った資金計画を立てることが、スムーズな開業と安定した運営への第一歩です。

「遊べる本屋」で働いていた頃、「この雑貨、面白いけど、いくらならお客さんは『欲しい!』って思うかな?」と値付けに頭を悩ませたものです。民泊の初期費用も、ある意味それに似ています。必要なコストをしっかり把握した上で、「これなら実現可能だ!」という計画を立てる。そのプロセス自体が、開業準備の醍醐味なのかもしれません。

この記事が、あなたの民泊開業計画の「値付け」…いや、「予算計画」の参考になれば嬉しいです。


【あなたの「プライスリスト」、一緒に確認しませんか?】

ここまで読んで、「うーん、うちのケースだと、結局トータルでいくらくらいかかるんだろう?」「消防設備の見積もり、どこに頼めばいいの?」「やっぱり申請手続き、専門家に任せた方が安心かも…」なんて、具体的な疑問や不安が湧いてきたかもしれませんね。

そんな時は、ぜひ一度、当事務所にご相談ください。あなたの物件の状況や計画を伺いながら、より具体的な費用の概算や、手続きの流れについてアドバイスさせていただきます。初回のご相談は無料ですので、「ちょっと話を聞いてみたい」くらいの軽い気持ちで大丈夫。上の「お問い合わせ」ボタンから、お気軽にご連絡ください。

まるで、マニアックな本の価格を調べるみたいに、あなたの民泊開業に必要な「コスト」を、一緒に明らかにしていきましょう!

こちらもご確認ください。→民泊事業申請について


※本記事の内容は2025年4月現在の法律に基づいています。法律や条例は変更される可能性がありますので、最新情報は必ず関係機関にご確認ください。

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