【ゴーストレストラン開業】1キッチン複数ブランド営業で保健所の許可を取る方法

こんにちは!行政書士の栗原です。

一つの厨房で、唐揚げ専門店、タコライス専門店、サラダ専門店…全く違う顔を持つお店を同時に営業する。そんな魔法のような業態「ゴーストレストラン」に、胸を躍らせている方も多いのではないでしょうか。

私が店長だった「遊べる本屋」も、一見するとただの本屋ですが、中には雑貨コーナーやイベントスペースがあったりして、一つの場所で色々な楽しみ方を提供することに情熱を燃やしていました。その視点から見ても、ゴーストレストランの開業は、現代的で、最高に「遊べる」ビジネスモデルだと思います。

しかし、その一方で、こんな疑問が浮かびます。 「こんな新しいやり方、保健所はどう見るんだろう?」「ブランドの数だけ、営業許可が必要なの?」

今回は、この最先端のゴーストレストランの開業について、飲食店営業許可の申請をどうすればスムーズに進められるのか、その具体的な方法とコツを徹底解説していきます。


結論:許可は「1つ」でOK!ただし、押さえるべき重要原則あり

まず、皆さんが最も気になっているであろう結論からお伝えします。 一つの厨房で複数のブランドを運営する場合でも、必要な飲食店営業許可は原則として「1つ」です。

「え、3ブランドなら3つの許可が必要なんじゃないの?」 そう思いますよね。しかし、ここが重要なポイントです。保健所の営業許可は、「屋号(ブランド名)」に対してではなく、「施設(厨房)」に対して与えられるものなのです。

つまり、

  • 1つの厨房(施設)で営業するなら、運営する法人が1社であれば、許可は1つ
  • 2つの厨房(施設)で営業するなら、たとえブランドが1つでも、許可は2つ

ということになります。これは、ゴーストレストランの許可を考える上での大原則です。


実践編:複数ブランドを1枚の申請書にどう書くか?

「許可が1つで良いのは分かった。でも、申請書の『屋号』の欄には、なんて書けばいいの?」 次にぶつかるのが、この実務的な問題です。解決策は主に2つあります。

方法①:全ての屋号を列記する

申請書の「屋号」の欄に、運営する全てのブランド名を書いてしまう、という最もシンプルな方法です。 例:「からあげ専門 にわとり軒、タコライス沖縄日和、ごちそうサラダ畑」

ただし、この方法は、自治体によっては文字数制限で書ききれなかったり、デリバリーサイトの登録画面と完全に一致させる必要があったりする場合、少し不便が生じる可能性があります。

方法②:「共通の屋号」+「別紙」での提出が最もスマート

私が最もお勧めするのは、この方法です。

  1. まず、全てのブランドを統括する、共通の屋号(キッチン名)を決めます。(例:「サンシャインキッチン」など)
  2. 申請書の「屋号」欄には、その共通の屋号を記入します。
  3. そして、「その他、営業に使用する屋号」といったタイトルの別紙(A4用紙でOK)を作成し、そこに運営する全てのブランド名をリストアップして、申請書と一緒に提出します。

この方法なら、将来的にブランドが増えた際も、変更の届出がしやすく、保健所の担当者にも事業内容が明確に伝わります。

最重要クエスト:保健所への「説明責任」を果たそう

書類の書き方がわかったら、次がゴーストレストラン開業における最重要クエストです。それは、保健所の担当者に、あなたのビジネスモデルを正しく理解してもらい、安心してもらうこと。

事前相談で「衛生管理計画」を自信を持って語る

物件の契約前に行う「事前相談」。ここで、あなたは単に「許可が取れるか」を聞くだけでなく、「一つの厨房で、これだけの種類の料理を、衛生的に管理できる」ということを、具体的に説明する必要があります。

担当者が最も気にするのは「交差汚染(食材間で菌が移ること)のリスク」です。例えば、

  • 「唐揚げ用の鶏肉を扱うエリア」と「サラダ用の生野菜を扱うエリア」をどう分けるか?
  • アレルギー食材の管理方法は?
  • 調理器具の使い分けは?

これらの質問に、よどみなく答えられる準備をしておきましょう。しっかりとした衛生管理計画は、担当者に「この人はプロだ」という信頼を与えます。

▶ご参考:厚生労働省 – HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化


まとめ:新しい冒険には、新しい地図の描き方が必要だ

ゴーストレストランの開業、その許可取得の流れ、ご理解いただけたでしょうか。

  • 原則:許可は「施設」に1つでOK。
  • 申請書:「共通の屋号」+「別紙」でスマートに。
  • 保健所対策:懸念されるリスク(衛生管理)を先回りして説明する。

ゴーストレストランは、これまでの飲食店の常識を覆す、新しい冒険です。だからこそ、古い地図をなぞるのではなく、この新しい冒険に合わせた地図の描き方(=申請の仕方)を知ることが、成功への第一歩となります。

私が店長だった本屋も、時代に合わせて通販やイベントなど、新しい本の届け方に挑戦してきました。あなたのそのクリエイティブな挑戦を、心から応援しています。


ゴーストレストランの開業は、まだ行政の前例が少ない部分もあり、自治体や担当者によって対応が異なるケースも考えられます。ご自身の物件やブランド構成で、「どう説明すればいいか難しい…」「衛生管理計画の立て方がわからない」といった具体的なご相談がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。元店長として、そして行政手続きの専門家として、あなたの「新しい冒険」を全力でサポートさせていただきます。

飲食店営業許可についてはこちらもご覧ください。


Warning

この記事は、2025年9月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。飲食店の許可申請にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。

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    栗原 弘直
    -行政書士登録番号:24091288
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    ‐著作権相談員

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