「よし、古物商の許可を取るぞ!」 そう意気込んで申請書を前にしたあなた。しかし、そこに現れたのは、まるでRPGのスキルリストのような謎の言葉たち…。
「美術品類、衣類、時計・宝飾品類、自動車、道具類…」
これは一体、何かの呪文?そう、これこそが、すべての古物商が向き合うことになる「13品目」という、少し不思議なリストなのです。
こんにちは!元「遊べる本屋」店長の行政書士、栗原です。私が店長だった頃は、「書籍」はもちろん、「道具類」(文具や雑貨)、「衣類」(古着Tシャツ)など、複数の品目を扱っていました。これらは、お店の個性を創り出す大切な要素でした。
まず、安心してください。この「13品目」という不思議な呪文は、決してあなたを困らせるためのものではありません。むしろ、これから古物ビジネスという広大な世界を冒険するあなたの「職業」や「専門分野」を示す、大切な道しるべなのです。
この記事を読めば、難解に見える「13品目」を完全に翻訳し、あなたがどの古物を扱う冒険者になるべきかが、きっと見つかりますよ!

そもそも古物商の「13品目」とは何か?
では、この13品目の正体とは一体何なのでしょうか。 一言でいえば、これは《「古物営業法」という法律で定められた、中古品の公式な分類です。》
古物商の許可を警察署に申請する際には、「私は主に、この分類の中の〇〇を扱って営業しますよ」と、自分の専門分野を申告することが必要になります。
なぜなら、この分類は、万が一盗品が出た場合に、警察署が「〇〇が盗まれたなら、△△を扱っているお店を重点的に捜査しよう」と、迅速に犯人や被害品を見つけ出すための、非常に重要な手がかりになるからです。このように、13品目は、社会の安全を守るための合理的なルールなのです。
古物商「13品目」完全翻訳リスト!あなたの専門分野はこれだ!
それでは、お待たせしました!まるで魔法の巻物のような「13品目」を、一つひとつ翻訳していきましょう。あなたの「売りたいもの」が、どのアイテムリストに載っているか探してみてください。
正式名称(呪文) | 翻訳(こんなもの!) | ワンポイントアドバイス |
1. 美術品類 | 絵画、書、彫刻、工芸品、骨董品、アンティーク家具など | 真贋を見極める「目利き」の力が試される専門職。ロマンあふれる分野です。 |
2. 衣類 | 古着全般、着物、洋服、帽子、布団、敷物など | ファッション好きならこれ!せどりでも人気の花形ジャンル。あなたのセンスが光ります。 |
3. 時計・宝飾品類 | 腕時計、懐中時計、ネックレス、指輪、宝石、貴金属類など | 高価なものが多く、専門知識が求められます。偽物も多いため、深い知識が武器になります。 |
4. 自動車 | 四輪自動車、その部品(タイヤ、カーナビ、バンパーなど) | 専門知識と広い保管場所が必要な上級者向け。大きな利益が狙えることも。 |
5. 自動二輪車及び原動機付自転車 | バイク、スクーター、その部品 | 自動車同様、専門性が高い分野。根強いファンが多く、やりがいのある品目です。 |
6. 自転車類 | 自転車、電動アシスト自転車、その部品(サドル、フレームなど) | 日常的なアイテムですが、盗難品が多いため、防犯登録の確認が特に重要になります。 |
7. 写真機類 | フィルムカメラ、デジタルカメラ、レンズ、三脚、望遠鏡など | コアなファンが多いジャンル。動作確認のスキルが利益に直結します。 |
8. 事務機器類 | パソコン、コピー機、FAX、電話機、シュレッダー、レジなど | PCやスマホを扱う際は、個人情報のデータ消去を徹底することが絶対条件です。 |
9. 機械工具類 | 電動工具、工作機械、土木機械、医療機器など | プロが使う専門的な機械が中心。特定の業界に特化したい方向けです。 |
10. 道具類 | 家具、スポーツ用品、楽器、ゲーム、CD/DVD、おもちゃ、雑貨、食器など | 【超重要】非常に範囲が広く、ほとんどの商品がここに分類される万能品目です。 |
11. 皮革・ゴム製品類 | バッグ、靴、財布、キーケース、カバンなど | ブランド品が多く、流行にも左右されます。「衣類」と合わせて取得するのがおすすめです。 |
12. 書籍 | 古本、マンガ、雑誌、学術書など | 私の原点!「遊べる本屋」の魂です。一冊の本に眠る価値を見つけ出す喜びがあります。 |
13. 金券類 | 商品券、ビール券、乗車券、航空券、切手、収入印紙など | 偽造や有効期限に注意が必要な特殊ジャンル。扱うには相応の知識が必要です。 |
▶ご参考:埼玉県警 13品目の解説
13品目選びで失敗しないための3つの重要ポイント
「どの古物を扱うか」を決める際に、知っておくと得するポイントを3つ伝授します。
ポイント1:迷ったら「道具類」は必ず選ぼう!
この13品目というアイテムリストの中で、最強の万能呪文、それが「10. 道具類」です。家具、おもちゃ、ゲーム、雑貨、スポーツ用品…と、その範囲は驚くほど広い。フリマアプリで人気の商品の多くがここに該当するため、特別なこだわりがなければ、まずは「道具類」を選んでおくのが定石です。
ポイント2:後からの追加も可能!でも最初が肝心
もし、営業を始めたあとに扱う品目を増やしたくなった場合、変更届を警察署に提出すれば追加は可能です。しかし、その都度手続きをするのは少し手間がかかります。したがって、将来少しでも扱う可能性がある品目は、最初の許可申請の際に、まとめて含めておくのが賢い戦略と言えるでしょう。自分で申請するなら、なおさらです。
ポイント3:「主たる品目」で、あなたのお店の“顔”を決めよう
申請時には、複数選んだ品目の中から「主として取り扱う古物」を一つだけ選ぶ必要があります。これは、あなたのお店が「何屋さん」なのかを示す、いわば看板のようなもの。例えば、「衣類」と「道具類」を扱うなら、メインが古着なのか、雑貨なのか、という顔を一つ決める、と考えてください。
まとめ – あなただけの「アイテムリスト」で冒険の準備を!
このように、「13品目」は、古物商としてのあなたの専門性を示す「称号」であり、ビジネスの可能性を広げるための「スキルリスト」です。
あなたがどの古物を扱うか、その選択が、これからのあなたのビジネスの方向性を決めます。この記事という名の翻訳書を片手に、あなたの「好き」や「得意」がどの品目に当てはまるかを見つけ出し、自信を持って冒険の第一歩を踏み出してください。
▶ご参考:古物営業法の全体像については、以下の警察庁のページも役立ちます。 警察庁 古物営業法
「自分のビジネスは、13品目のうちどれに該当するんだろう?」 「複数の品目を扱う場合の、具体的な注意点を知りたい」
そんな個別の疑問やご不安がございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。元「遊べる本屋」店長として、そして法律の専門家として、あなたの「お店作り」という冒険の準備を、全力でサポートさせていただきます。
【ご注意】 この記事は、2025年6月時点の情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成されたものです。個別の事案に対する法的アドバイスではありません。古物商の許可申請にあたっては、必ず最新の法令・条例をご確認の上、必要に応じて管轄の行政機関や専門家にご相談ください。