「自分だけのセンスでセレクトしたヴィンテージTシャツやワンピースを、壁一面に並べて…」
憧れの古着屋開業!その熱い想い、私もお店をやっていた人間として、痛いほどよくわかります。理想の空間を想像するだけで、胸が高鳴りますよね。
こんにちは!元「遊べる本屋」店長の行政書士、栗原です。私も「こんな本棚があったら最高だな」「この雑貨を置いたらお客さん喜ぶかな」と、夢を描くことからお店作りを始めました。
しかし、その熱い想いのままに「最高の物件見つけた!すぐに契約しなきゃ!」と突き進むのは、少しだけ待ってください。そこには、夢の城が砂上の楼閣になりかねない、大きな落とし穴があるのです。
古物商許可はいつ取る? この問いこそ、古着屋開業を成功させるための最初の、そして最も重要な問いかけです。
今回は、お客様からの「買取」を合法的に行い、あなたの夢を盤石にするための必須知識と、店舗契約より先にやるべき、たった一つのことを、行政書士として、そしてお店作りの先輩として徹底解説します!

なぜ焦りは禁物?古着屋開業における「鶏と卵」問題
古着屋開業を目指す多くの方が、まずこのジレンマに陥ります。
- 古物商の許可申請には、お店の場所、つまり「営業所」の住所が必要。 → じゃあ、先に物件を契約しなきゃ!
- しかし、契約したその物件で、許可が下りない可能性がある。 → え、じゃあ許可が下りてから契約…?でも住所がなきゃ申請できない…
まるで「鶏が先か、卵が先か」のような、堂々巡りの問題ですよね。この問題を解決できずに、「家賃だけが毎月発生して、いつまでも営業できない…」という最悪の事態に陥るケースは、決して少なくありません。
では、どうすればいいのでしょうか。実は、このループを断ち切る、魔法のようなステップが存在するのです。
これが結論!店舗契約より先にやるべき、たった一つのこと
古物商許可はいつ取る? その問いに対する、これが私の結論です。 店舗契約より先にやるべき、たった一つのこと、それは…
「気になる物件を『仮押さえ』した上で、管轄の警察署に『事前相談』に行くこと」
これに尽きます。あまりにシンプルで、拍子抜けしましたか? しかし、これが失敗しない古着屋開業の最強の秘訣なのです。
なぜ「事前相談」が最重要ステップなのか
なぜなら、この「事前相談」というステップを踏むことで、以下のようなメリットが得られるからです。
- その物件で許可が取れるか、プロの目で確認してもらえる: 用途地域の問題など、不動産屋さんでは判断できない「法律上のOK/NG」を、警察署の担当官がチェックしてくれます。
- 大家さんへの「使用承諾書」の書き方を教えてもらえる: どんな文面で大家さんにお願いすればスムーズか、具体的なアドバイスをもらえます。
- 内装工事の注意点がわかる: 「お客様から商品を買い取るカウンターは、こんな風に仕切ってくださいね」など、後からでは修正が難しい点について、事前に指導を受けられます。
このステップを踏むことで、「契約したのに許可が下りない」という最大のリスクをほぼゼロにできるのです。これは、古着屋開業における必須知識と言えるでしょう。
仮押さえ」で時間を確保する交渉術
「でも、相談している間に、他の人に物件を取られたら…」と不安になりますよね。そこで、不動産屋さんには正直にこう伝えましょう。
「古着屋開業を考えており、古物商の許可が必要です。つきましては、警察署に相談する間、1週間ほどこの物件を仮押さえ(申込み)させていただけないでしょうか?」
誠意を持って伝えれば、多くの不動産屋さんは事情を理解し、協力してくれます。
失敗しない古着屋開業!理想的なステップを完全解説
「店舗契約より先にやるべきこと」を組み込んだ、古着屋開業の理想的なステップ・バイ・ステップは以下の通りです。この流れを頭に入れておけば、もう迷うことはありません。
【古着屋開業・完全ガイドすごろく】
マス1:冒険の計画(事業計画・資金計画) お店のコンセプトや資金計画を練ります。
マス2:拠点の捜索(物件探し&仮押さえ交渉) 理想の物件を見つけ、不動産屋さんに事情を話して仮押さえします。
マス3:賢者の助言(管轄警察署へ「事前相談」) 【最重要!】 物件の資料を持って、警察署の生活安全課へ。
マス4:城の契約(不動産の本契約) 警察署からOKが出たら、安心して物件を契約します。
マス5:許可の申請(書類準備・提出) 契約後に正式な書類を揃え、許可申請を行います。
マス6:城の改装(内装工事・商品仕入れ) 許可を待つ間に、お店作りと商品準備を進めます。
ゴール!:営業開始(許可証の受領&オープン!) 許可証を受け取ったら、いよいよ夢の城のオープンです!
古着屋開業で特に注意すべき古物商許可のポイント
古着屋開業を目指すなら、特に以下の点に注意してください。
「品目」の選び方 – 「衣類」だけで本当に大丈夫?
古着だけでなく、ヴィンテージのバッグ(皮革・ゴム製品類)やアクセサリー(時計・宝飾品類)、お店に飾りたいアンティーク雑貨(道具類)なども販売・買取する可能性がありますよね。したがって、将来扱う可能性のある品目は、最初の申請時にすべて含めておきましょう。
「管理者」は誰にする?
あなたが毎日お店に立つなら、ご自身が「管理者」を兼ねるのが一般的です。もし、店長を雇う場合は、その方が管理者の要件(営業所への常勤など)を満たすか、事前にしっかり確認する必要があります。
「買取」業務のルールを徹底する
お客様からの「買取」は、古物商の営業の根幹です。本人確認の徹底や、古物台帳への正確な記録は、法律上の義務であると同時に、お店の信用を守る生命線。スタッフを雇う場合は、このルールの教育を徹底しましょう。
- ▶ご参考:警察庁 古物営業法
- ▶ご参考:e-Gov法令検索 古物営業法
- ▶ご参考:神奈川県警察 古物営業
まとめ – 夢の城を、盤石の土台の上に築こう
古着屋開業という素晴らしい夢。その夢の城は、センスの良い服やおしゃれな内装だけで建っているわけではありません。法律という、目には見えないけれど強固な土台があってこそ、輝き続けるのです。
「古物商許可はいつ取る?」 その答えは、「店舗契約より先に、まず警察署に相談することから始める」でしたね。
焦る気持ちをぐっとこらえ、正しいステップを踏むこと。それが、あなたの夢を一番の近道で、そして最も安全に叶える方法です。
あなたの夢の城(お店)作り、どこから手をつけていいか迷ったり、不動産屋さんや大家さんとの交渉に不安を感じたりしたら、ぜひ私たちにご相談ください。物件選びの段階から、法務のプロとして、そしてお店作りの先輩として、あなたの古着屋開業をがっちりサポートします。